ドン・チェリー (アイスホッケー)

ドン・チェリー：アイスホッケー界の異端児

ドナルド・スチュワート・チェリー（通称：ドン・チェリー）は、1934年2月5日にカナダのオンタリオ州キングストンで生まれました。彼はアイスホッケーの解説者として広く知られていますが、その経歴は選手、コーチとしても輝かしいものでした。

選手、コーチとしてのキャリア

ジュニアホッケーで頭角を現したチェリーは、1954年にアメリカン・ホッケー・リーグ（AHL）のハーシー・ベアーズとプロ契約を結びました。NHLでは、ボストン・ブルーインズ在籍時の1955年にプレーオフで1試合に出場したのみで、選手としてのキャリアのほとんどをマイナーリーグで過ごし、1970年に現役を引退しました。

しかし、チェリーの才能は指導者として開花します。1971年にAHLチームのコーチに就任後、1974年にはボストン・ブルーインズのヘッドコーチに就任。1975-76シーズンには、最優秀コーチに贈られるジャック・アダムス賞を受賞し、翌シーズンから2年連続でスタンレー・カップ決勝に進出するなど、チームを強豪へと導きました。

1979-80シーズンにはコロラド・ロッキーズのヘッドコーチを務め、その後、解説者としての新たな道を歩み始めます。

解説者としての成功と論争

1981年、チェリーはCBCの「ホッケー・ナイト・イン・カナダ」に解説者として登場し、その率直で歯に衣着せぬ物言いと、独特なファッションセンスでたちまち人気者になりました。1987年からは、ロン・マクレーンとコンビを組み、「コーチズ・コーナー」というコーナーを担当し、長年にわたって番組の看板となりました。

チェリーの解説は、時に物議を醸すこともありました。彼は伝統的なカナダの価値観を重視し、外国人選手やヨーロッパのプレースタイルを批判することがありました。また、政治的な発言も多く、そのたびに賛否両論を巻き起こしました。

1998年には、長野オリンピックのアイスホッケー競技をCBCで解説するためにマクレーンと共に訪日。同年には、アイスホッケーを題材としたカナダのテレビドラマ「Power Play」に、フィラデルフィアのチームのコーチ役で出演するなど、多方面で活躍しました。

解雇とその後

しかし、2019年11月、「ホッケー・ナイト・イン・カナダ」の放送中に、カナダ国内の移民を批判する発言をしたことがきっかけで、チェリーは大きな批判を浴びることになります。スポーツネット社は、この発言を問題視し、チェリーに解雇通告。彼は長年親しんだ番組を降板することになりました。

降板後も、チェリーは自身のポッドキャストやソーシャルメディアを通じて、積極的に発言を続けています。彼の発言は依然として賛否両論を呼んでいますが、その影響力は衰えていません。

ドン・チェリーは、アイスホッケー界における異端児であり、常に議論の的となる人物です。しかし、彼の情熱的な姿勢と、アイスホッケーに対する深い愛情は、多くの人々に感銘を与え続けています。

外部リンク

ドン・チェリー - NHL.com（英語）
CBCデジタルアーカイブ「Don Cherry」（英語）

もう一度検索