ドン・ブラッシンゲーム

ドン・リー・ブラッシンゲームの生涯

ドン・リー・ブラッシンゲーム（Don Lee Blasingame、1932年3月16日 - 2005年4月13日）は、アメリカ合衆国ミシシッピ州コリンス出身の元プロ野球選手、コーチ、監督として知られる。彼は「ブレイザー」という愛称でも親しまれ、特に日本のプロ野球ファンには「ドン・ブレイザー」という名で知られている。

彼の野球との関わりは、実父の影響を受けたことから始まった。義父のウォーカー・クーパーもMLBで活躍した選手であり、彼の影響もあってブラッシンゲームは早くからスポーツの道を選ぶこととなった。1960年には結婚し、妻は元客室乗務員で、後にミス・カリフォルニアを獲得した。彼は父親として、また夫としての人生も大切にしながら、野球という道を追求した。

メジャーリーグ時代

ブラッシンゲームは、コリンス高等学校からリプスコム大学を経て、1953年にセントルイス・カージナルスに入団。1955年9月20日にシカゴ・カブス戦でメジャーリーグ初出場を果たし、1956年には二塁手としてレギュラーに定着した。彼は1958年にオールスターゲームにも出場し、当時のMLBを代表する選手の一人として多くの注目を集めた。

日本プロ野球での初めての経験は1959年に大阪スタヂアムで行われた試合で、素晴らしい守備プレーにより多くの人々の記憶に残った。このプレーは、ブレイザーの守備能力と体の動かし方がいかに優れているかを示すもので、当時の選手に大きな影響を与えた。

日本でのキャリア

1967年に来日し、南海ホークスに入団。彼は日本では「ドン・ブレイザー」として知られ、グラブ捌きや送球の正確性、さらに勝負強いバッティングを持ち味としていた。彼は1967年と1968年にベストナインに選出され、攻守にわたるプレーでチームを牽引した。

さらに、彼の教えを受けた選手たちは、試合前のミーティングで先進的な戦略や野球理論を教わり、これが日本の野球文化に大きな変化をもたらした。特に野村克也は、「ブレイザーがいなければ、自分は監督を引き受けなかった」と語るほど、その影響を受けた選手のひとりである。

1969年、彼は引退し、ヘッドコーチに就任。その後、南海ホークスの選手兼任監督としても活動。彼のもとで、チームは戦略的なプレーを重視し、芸術的な守備や攻撃が強調された。

監督としての活動

南海ホークスを退団後、広島東洋カープでヘッドコーチとしての役割を果たし、その後阪神タイガースの監督に就任。阪神では、「考える野球」をテーマに、選手たちに知識と戦略を身につけさせることを重視した。しかし、岡田彰布との起用方針を巡って激しい対立があり、最終的に監督を退任することとなった。

晩年と功績

その後、ブラッシンゲームは南海ホークスの監督に返り咲き、1981年には再びチームを導いた。彼の尽力と指導力は多くの選手の成長に寄与し、日本のプロ野球界においても広く認知されることとなった。帰国後はセントルイス・カージナルスやフィラデルフィア・フィリーズでコーチを務めるも、健康上の問題に悩まされることが多くなった。

2005年4月13日、アリゾナ州にて73歳で亡くなった。彼の遺産は、指導者としての哲学や野球の技術だけでなく、野球が持つ知的な側面が重視される文化の形成に大きく貢献したことであり、今後も多くの選手たちに受け継がれていくことだろう。

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