ドーソン・シティ

ドーソン・シティ：ゴールドラッシュの歴史と自然が息づく街

ドーソン・シティ（Dawson City）は、カナダのユーコン準州に位置する都市で、北緯64度、西経139度にあります。地元では単に「ドーソン」と呼ばれますが、ブリティッシュコロンビア州のドーソンクリークと区別するため、「ドーソン・シティ」と呼称されるのが一般的です。現在の人口は約1,500人で、かつてはゴールドラッシュで栄華を極めた歴史を持ちます。

1897年に、この地域を探検したカナダの地理学者ジョージ・マーサー・ドーソンにちなんで命名されました。1898年にユーコン準州が誕生してからは州都でしたが、1952年にホワイトホースにその座を譲りました。元々は先住民ハン族が夏季漁の宿営地として利用していた場所でしたが、1896年にクロンダイク・ゴールドラッシュが始まると急速に発展しました。1898年には人口が40,000人に達しましたが、ゴールドラッシュ終焉とともに人口は激減し、1902年の市制編入時には5,000人以下になりました。

その後、人口は安定していましたが、第二次世界大戦後に州都がホワイトホースに移ると再び減少。1960年代には600人から900人程度で安定しました。近年では、金の採掘と観光業が盛んになり、インフラも整備されています。1950年代にはアラスカと道路で接続され、1955年にはクロンダイク・ハイウェイによってホワイトホースとも結ばれました。

ドーソン・シティは、その歴史的価値から市内の多くの建築物が「ドーソン地区」として国定史跡に指定されています。ゴールドラッシュ時代の古い建物が資料館として利用され、当時の衣装を身につけた職員が案内しています。また、国定史跡である「浚渫船第4号」や「S.S.キノ（蒸気船）」もこの地区にあります。

産業：金採掘と観光業

現在のドーソン・シティの主要産業は観光と金採掘です。

金採掘は1896年、ジョージ・カーマック、ドーソン・チャーリー、スクーカム・ジム・メイソンの3人がボナンザ・クリークで金を発見したことから始まりました。このニュースは瞬く間に広まり、1898年にはゴールドラッシュを目当てに多くの人々が押し寄せました。しかし、多くの人々は金を発見できず、金を探す人々を相手に商売を始めました。その後、大型の砂金浚渫船が導入され、大量の砂金が採取されました。これらの浚渫船は地形を大きく変え、川やクリークの位置を変えるだけでなく、航路に大量の土砂を堆積させました。水力発電による電力供給のため、運河やダムも建設されました。冬には浚渫船は稼働を停止していましたが、通称クロンダイク・ジョー・ボイルのために作られた浚渫船は冬期にも操業が可能でした。この浚渫船は国定史跡としてボナンザ・クリークで公開されています。

最後の浚渫船は1966年に操業を停止し、ノースフォークの水力発電施設もドーソン・シティへの売却が不調に終わり閉鎖されました。現在では、この地域での金の採掘は、より原始的な手法で行われています。また、ドーソン・シティ空港からは空路でのアクセスが可能です。

観光業は、近年急速に発展しています。夏にはカヌーでユーコン川を下ったり、カナダのパタゴニアと呼ばれるトゥームストーン州立公園でハイキングを楽しんだりできます。デンプスターハイウェイは北極圏へと続いており、雄大な自然を満喫できます。また、ドーソン・シティはオーロラオーバルと呼ばれるオーロラの輪の真下に位置しており、冬にはオーロラ観測の名所として注目を集めています。

気候

ドーソン・シティの気候は、ユーコン準州の大部分と同様に亜寒帯気候です。年間平均最高気温は7月の23℃、年間平均最低気温は1月の-31℃、年間平均気温は-4.4℃です。記録された最高気温は1983年5月の35℃、最低気温は1992年2月の-56℃です。年間降雪量は160cm、年間降雨量は200mmで、霜の降りない期間は年間平均90日間です。

統計（2001年国勢調査）

人口: 1,251人（1996年から2.8%減）
面積: 32.45 km²
人口密度: 38.6人/km²
世帯数: 540世帯
* 一世帯あたりの平均収入: 41,792ドル

まとめ

ドーソン・シティは、ゴールドラッシュの歴史と豊かな自然が共存する魅力的な都市です。歴史的な建造物や博物館で過去に触れるだけでなく、オーロラ観測やハイキングなど、四季折々の自然を楽しむことができます。また、金の採掘は今もなお行われており、当時の面影を残しながら現代の産業も息づく、独特の魅力を持った場所です。

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