ナイダン・ツブシンバヤル

ナイダン・ツブシンバヤル：栄光と転落の柔道家

ナイダン・ツブシンバヤル（モンゴル語: Найдангийн Түвшинбаяр、Naidangiin Tüvshinbayar、1984年6月1日 - ）は、モンゴル・ボルガン県出身の柔道選手。モンゴル史上初のオリンピック金メダリストとして国民的英雄であったが、近年は犯罪により逮捕、有罪判決を受けている。

生い立ちと柔道との出会い

ツブシンバヤルは7人兄弟の末っ子として育ち、幼少の頃はモンゴル相撲に親しんでいた。小学校5年生の時に柔道を始め、2000年からは本格的に柔道に取り組むようになった。

国際舞台での活躍

2006年頃から国際大会に参加し始め、すぐに上位の成績を収めるようになる。2008年の北京オリンピックでは、男子100kg級で優勝候補であった日本の鈴木桂治に一本勝ちし、そのまま決勝まで勝ち進み、モンゴル人として初の金メダルを獲得した。この功績により、モンゴル国内では英雄として迎えられ、数々の褒賞を受けた。

北京オリンピック後のキャリア

北京オリンピック後も、ツブシンバヤルは柔道家として活躍を続けた。2012年のロンドンオリンピックでは銀メダルを獲得。2014年にはアジア大会で優勝を果たした。世界選手権でも2017年に銅メダルを獲得している。

プレースタイル

北京オリンピックの頃までは、低い姿勢から繰り出す双手刈や肩車を得意としていた。ルール改正後は、担ぎ技中心のスタイルへと転向し、一本背負投や小内巻込などを得意とした。

主な戦績

2006年 - 東アジア選手権　3位(100kg超級)
2006年 - 世界学生　3位
2007年 - フランス国際　3位
2007年 - ドイツ国際　3位
2007年 - アジア選手権　2位
2007年 - 世界選手権　無差別　5位
2008年 - フランス国際　2位
2008年 - アジア選手権　3位
2008年 - 北京オリンピック　優勝
2009年 - 東アジア大会　3位
2010年 - ワールドカップ・ウランバートル　優勝
2010年 - 世界選手権　5位
2010年 - アジア大会　5位
2010年 - グランプリ・青島　5位
2011年 - グランドスラム・パリ　2位
2011年 - ワールドカップ・ブダペスト　優勝
2011年 - グランプリ・デュッセルドルフ　5位
2011年 - アジア選手権　3位
2011年 - グランプリ・アブダビ　3位
2011年 - グランプリ・アムステルダム　5位
2011年 - ワールドカップ・チェジュ　優勝
2011年 - グランドスラム・東京　5位
2011年 - グランプリ・青島　5位
2012年 - ワールドマスターズ　5位
2012年 - グランドスラム・パリ　優勝
2012年 - ロンドンオリンピック　2位
2013年 - グランドスラム・東京　3位
2013年 - グランプリ・チェジュ　優勝
2014年 - グランプリ・デュッセルドルフ　3位
2014年 - アジア大会　個人戦　優勝　団体戦　5位
2014年 - グランプリ・チェジュ　2位
2015年 - 世界選手権 7位
2015年 - 世界団体　3位
2015年 - 　グランプリ・青島　優勝
2016年 - アジア選手権　優勝
2017年 - アジア選手権　団体戦　2位
2017年 - 　世界選手権　3位
2018年 - 　グランプリ・フフホト　優勝
* 2019年 - グランプリ・フフホト　2位

犯罪と逮捕、そして有罪判決

2021年、ツブシンバヤルは親友であったエルデネビレグ・エンフバットを襲撃し重傷を負わせたとして逮捕された。その後、エルデネビレグが死亡したことにより、罪に問われ、2022年には懲役16年の判決が言い渡された。

オリンピック委員会会長から一転、犯罪者へ

2020年にはモンゴルオリンピック委員会会長に就任していたツブシンバヤルだが、そのわずか1年後には犯罪者として逮捕されるという転落の人生を歩むこととなった。モンゴル柔道界、スポーツ界にとって大きな損失であることは間違いない。

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