ナイルの海戦

ナイルの海戦

ナイルの海戦は、1798年のフランス革命戦争における重要な戦闘であり、アブキール湾を舞台にした歴史的な出来事です。この戦闘では、ホレーショ・ネルソン指揮のイギリス艦隊が、フランス艦隊に対して決定的な勝利を収め、地中海の制海権を完全に掌握しました。

戦争の背景

1798年、フランスのナポレオン・ボナパルトはエジプト遠征を企て、その動向を察知したイギリスはネルソン艦隊を派遣しました。しかし、イギリス艦隊は悪天候に見舞われ、フランス艦隊の出航を許し、ナポレオンのエジプト上陸を許可してしまいます。ようやくアブキール湾に停泊していたフランス艦隊を発見したイギリス艦隊は、8月1日の夕暮れ前に接触しました。

戦闘の経過

当日は、イギリス艦隊が戦列艦14隻、砲938門を擁していたのに対し、フランス艦隊は戦列艦13隻とフリゲート艦4隻で、砲の数も1,026門と数では優位に立っていました。しかし、フランス艦隊は供給が乏しく、水兵の三分の一を上陸させている状態で戦力が劣っていました。また、フランス艦隊はバランスを取り、高度な防御態勢を固めていましたが、ネルソンはそれを恐れずに攻撃を開始しました。

ネルソンは、座礁した艦を除き、艦艇を二つに分けて南北に展開させ、攻撃を実行しました。最初の攻撃が放たれたとき、フランス艦隊は陸側からの攻撃に対する準備が整っておらず、混乱が広がりました。続く北風がフランス艦艇の連携を阻害し、イギリス艦隊は有利な位置から次々とフランス艦艇を攻撃していきます。名だたる巨艦「ロリアン」は激しく反撃を試みたものの、他の艦隊の攻撃に耐えきれず、最終的には爆発し沈没しました。

フランス艦艇の中には一部脱出に成功したものの、イギリス艦隊は一隻も沈没することなく、8月2日朝までに残りのフランス艦艇も全て鹵獲または炎上する事態に至りました。

戦後の影響

この戦闘の結果、フランスは大敗を喫し、ナポレオンはエジプトに孤立することになります。また、イギリスは地中海の制海権を完全に掌握し、ネルソンはその名声を一層高め、多くの国の海軍にとって恐れる存在となりました。

近年の発見

近年、アブキール湾は考古学的な調査の場となり、当時の艦艇の残骸や載せていた物品が発見されています。中でも、フランス艦隊の旗艦「ロリアン」に搭載されていた大砲や金貨などが引き揚げられ、歴史の一端が明らかになってきています。さらに、2000年には、ナイルの海戦および1801年の戦闘で命を落とした戦士たちの墓地が発見され、関連する記念行事も行われました。

終わりに

ナイルの海戦は、軍事戦術や国際関係において決定的な影響を及ぼした事件でもあり、その歴史的意義は現在もなお影響を及ぼしています。

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