ナイルオオトカゲ

ナイルオオトカゲ（Varanus niloticus）

ナイルオオトカゲは、有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属に分類される大型のトカゲで、別名ナイルモニターとも呼ばれています。アフリカ大陸に広く分布し、多様な生態を持つことが特徴です。

分布

ナイルオオトカゲは、北部やサハラ砂漠を除くアフリカ大陸に広く分布しています。特にナイル川周辺に多く生息していますが、アフリカ大陸の広範囲にその姿を見ることができます。また、アメリカ合衆国フロリダ州にも移入種として定着しており、生態系への影響が懸念されています。

形態

全長は通常150cm程度ですが、最大で243cmに達することもあり、アフリカ大陸に生息するオオトカゲの中では最大種です。体色は黒や暗灰色で、明色の斑点が横帯状に並んでいるのが特徴です。尾は側扁しており、泳ぐのに適した形状をしています。鼻孔は吻端と目のほぼ中間に位置し、丸い形をしています。

幼体は緑黒色で、黄色い斑点が帯状に並んでいますが、成長するにつれてこれらの斑点は不明瞭になっていきます。歯は幼体の時は側偏し尖っていますが、成長に伴い臼状に変化します。これにより、貝類や甲殻類などの硬い獲物も噛み砕いて食べることが可能になります。

分類

ナイルオオトカゲの西部個体群は、亜種ニシナイルオオトカゲ（V. n. ornatus）として分類されることもあります。この分類は、地域個体群間のわずかな形態的な違いに基づいています。

生態

ナイルオオトカゲは、河川、湖沼、池の周辺などの水辺に生息し、水辺を好む傾向があります。しかし、市街地に侵入することもあります。水辺の樹上によく登り、泳ぎや潜水も得意です。外敵に襲われると、歯や爪を使って応戦したり、尾を打ちつけて抵抗します。

食性は非常に多様で、昆虫、多足類、甲殻類、貝類、魚類、カエル、爬虫類、鳥類、小型哺乳類、動物の死骸などを食べます。また、ナイルワニの卵や幼体も捕食することが知られています。繁殖は卵生で、雨期にシロアリの蟻塚の中に1回に10～60個の卵を産みます。卵は4～10ヶ月で孵化し、アフリカ南部では1～2月に産卵し、10～12月に孵化する例が報告されています。アフリカ南部では冬季に成体が冬眠するため、この期間は胚発生も休止し、孵化までの期間が長引くと考えられています。飼育下では30℃で約4ヶ月で孵化した例があります。飼育下での生存例は15年以上とされています。

人間との関係

アフリカ南部では、ナイルオオトカゲの脂肪が薬用や雷除けになると信じられています。一方で、家禽を食害する害獣とみなされることもあります。アメリカ合衆国フロリダ州では、ペットとして飼育されていた個体が遺棄または脱走し、定着したと考えられています。特にケープコーラルでは、2003～2005年に146匹の目撃例や捕獲例が報告されており、在来種であるアナホリフクロウ、カッショクペリカン、アナホリゴファーガメ、キスイガメ、ウミガメ類、アメリカワニなどの卵や幼体への影響、また、家禽や猫、小型犬に対する脅威が懸念されています。

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されています。幼体から飼育すれば慣れる個体もいますが、一般的に性質は荒いとされています。

出典

[参考文献名をここに記載]

関連項目

* オオトカゲ科

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