ナイル殺人事件 (2022年の映画)

ナイル殺人事件

『ナイル殺人事件』（原題：Death on the Nile）は、2022年にアメリカ・イギリス合作で公開されたミステリ・スリラー映画です。本作はアガサ・クリスティの1937年の名作『ナイルに死す』を元に作られ、過去に1978年の映画化や2004年のテレビシリーズでも描かれてきました。さらに、本作は2017年公開の『オリエント急行殺人事件』の続編として位置づけられています。

物語の舞台

物語は1914年、第一次世界大戦のベルギーが舞台として始まります。エルキュール・ポアロは一兵卒として戦争に従軍していました。彼が所属していた部隊は危険な橋の奪回命令を受けますが、ポアロの助言で任務を遂行。しかし、その後、予期せぬ爆発により隊長が命を落とし、ポアロは重傷を負います。この事件をきっかけに彼は口髭を生やし、トラウマを抱えることになります。

時は進み、1937年。ポアロはエジプトに休暇を取っている際、友人のブークと再会します。ブークは恋人のロザリーと共に、ITに親しむ富豪リネット・ドイル（旧姓リッジウェイ）によって企画されたツアーに参加しています。リネットは新婚旅行のためにクルーズ船カルナック号を貸し切り、豪華な友人たちと共に旅を楽しもうとしています。

複雑な人間関係

リネットの結婚を巡っては、元親友ジャクリーン（通称ジャッキー）からの恨みが影を落とします。彼女はリネットの夫サイモンの旧婚約者であり、略奪婚によって全てを失ったことから、執拗に2人を付きまといます。このため、ポアロはリネットからの依頼で、ジャッキーに関する問題を解決することになります。クルーズ中には、リネットに対する暗い影が迫り、アブ・シンベルでの事故がその前触れとなります。誰かが意図的に悪意を持って行動しているのではないかと、疑念が生じます。

殺人事件の発生

事件は次第に深刻化し、ついに悲劇が訪れます。リネットが夜中に自室で射殺され、そのネックレスが姿を消します。ジャッキーは目撃されていないにも関わらず、ポアロは他の参加者が持つ動機にも目を向けることになります。医師のウィンドルシャムや従兄弟のカチャドリアン、さらにはリネットの従者やメイドたちも疑わしい存在となり、ポアロは多角的な視点から捜査を進めます。

緊迫の捜査と結末

ポアロは様々な人々から事情を聴取しながら、複雑な人間関係と隠された秘密を明らかにしていきます。リネットのメイドルイーズの死も加わり、状況はさらに混乱を深めます。最終的に、ポアロはブークから真実を聞き出すことになりますが、次の瞬間、彼もまた命を奪われてしまいます。

捜査の結果、ポアロは真犯人とその背後にいる者たちを特定します。サイモンが実行犯で、ジャッキーがその黒幕であることが明らかになります。愛情の名の下に、2人はリネットの財産を狙った計画を練り、事件を起こしたのでした。

エピローグ

物語の締めくくりとして、ポアロは自身の人生や人間関係について再考し、エジプトから帰る姿が描かれます。ナイル川の流れと共に、彼の心にも新たな安寧が訪れるのでしょう。

本作は映画のクライマックスに織り込まれたサスペンスと、豪華なキャスト、ビジュアルを魅せる映像美が特長となっています。名探偵ポアロが織りなすミステリーの醍醐味を、一度は味わってみたい映画です。

もう一度検索