ナガサレール イエタテール

ナガサレール イエタテール

『ナガサレール イエタテール』は、ニコ・ニコルソンが自身の体験を基に描いた漫画作品です。2012年2月から2013年1月にかけて、ウェブコミック・小説配信サイト「ぽこぽこ」で連載されました。全12話からなり、単行本は2013年3月に発売されました。2019年3月には電子書籍版限定の描き下ろしが追加され、2020年3月には電子書籍特典と新たな描き下ろしを収録した完全版が発売されています。

概要

本作は、東日本大震災という深刻な題材を扱いながらも、軽妙なユーモアと作者独特の視点が光る作品です。駄洒落のようなタイトルとは裏腹に、震災後の家族の葛藤や再建への道のりを、作者と家族の掛け合いを通してコミカルに描いています。読者からは、そのユーモラスな作風に笑いを誘われるという声が多く寄せられています。

一方で、本作は作者自身の成長譚としても読むことができます。自由奔放に生きてきた作者が、実家の再建のために家族を支え、奮闘する姿は、多くの読者に感動を与えました。震災という困難な状況に直面しながらも、前向きに生きようとする家族の姿は、読者に勇気と希望を与えてくれます。

読者からは、将来への不安から「別の土地に転居した方が良かったのではないか」という現実的な意見も上がりました。しかし、多くの読者は「不謹慎と思いつつ笑ってしまった」と肯定的な感想を述べています。単行本出版後には、被災地から「苦い思い出が良い思い出に変わった」という感想も寄せられました。

2018年には、NHKの番組『あさイチ』で、漫画家のヤマザキマリがイチオシのエッセーとして本作を推薦しました。また、第16回文化庁メディア芸術祭では、マンガ部門の審査委員会推薦作品に選定されています。

あらすじ

2011年3月、東日本大震災により、宮城県山元町にあったニコルソンの実家は全壊しました。九死に一生を得た母と祖母は、神奈川県の親戚宅で避難生活を送ることになります。しかし、実家の再建は、建築制限や資金難など、多くの困難に直面します。さらに、避難生活中に祖母の認知症が進行し、母は子宮癌を発症してしまいます。

東京で暮らすニコルソンは、当初、介護と治療のために東京で一緒に暮らすことを提案しますが、生まれ育った土地での生活を望む母と祖母の気持ちを尊重し、実家の再建を決意します。数々の困難を乗り越え、震災の翌年12月、ついに実家の跡地に新しい家が完成し、母と祖母は山元町で穏やかな生活を送ることになりました。

外部リンク

ナガサレール イエタテール 完全版 - 太田出版
ナガサレール イエタテール - Ohta Web Comic

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