ナガシマスカ

概要

富士急ハイランドに位置する「ナガシマスカ」は、2008年 7月26日に営業を開始したウォーターアトラクションです。このアトラクションはラフティング形式を採用しており、定員4名の円形ボート「タライブネ」に乗ってコースを進みます。特に注目されるのは、日本で初めて導入された円形ボート用の巻き上げ装置で、ボートはまず高所まで持ち上げられます。その後、待ち受ける多彩な水の仕掛けが施された水路を流れ下っていく構造です。

コース

コースは大きく二つのパートに分かれています。

前半

前半部分は高所に設けられた水路を進みます。巻き上げ装置で最高部まで到達すると、ボートは急な傾斜を滑り降りてメインの水路に入ります。ここには、二重螺旋を描く「うずまきすべり台」、段差を連続して下る「こぶこぶすべり台」、そして大きな渦潮のような演出が特徴の「うずまきの滝」といった、ゲストを濡らす様々な仕掛けが待ち構えています。

後半

後半は広がる池の上を流れていきます。かつては、お社の前にある金色のマイクで特定の掛け声に合わせて拍手を打つと、その大きさに応じて最終地点で浴びる水の量が変わるユニークな仕掛けがありましたが、これは2019年のリニューアルで廃止されました。コースの最後には、金色のタライから大量の水を浴びてゴールとなります（この仕掛けもリニューアルで変更されています）。

テーマとシンボル

ナガシマスカは「恋愛成就」をテーマにしたアトラクションとしても知られています。流れる水には御利益があるとされており、より多くの水に濡れることで体の厄が落ち、恋愛が成就するというユニークな設定が魅力です。

アトラクションの最も象徴的な存在は、敷地にそびえ立つ巨大な夫婦招き猫「お猫様」です。金箔約4000枚が贅沢に使われたこの招き猫は、雄が高さ10メートル、雌が8.65メートルにも及びます。恋愛成就のテーマにちなみ、雄の左手と雌の右手は赤い糸で結ばれています。このお猫様には表と裏に異なる表情の顔があり、正面は穏やかな微笑みを浮かべていますが、裏面は口を大きく開けて叫んでいるかのような迫力ある表情です。この巨大な夫婦招き猫は、日本招猫倶楽部によって世界最大の招き猫ペアとして認定されています。

リニューアル

2019年7月20日にはリニューアルが実施され、「ナガシマスカ～水ましですか～」という副題が追加されました。主にコース後半の池エリアが改修され、池の水中やお猫様の口元などから水が勢いよく噴き出す新たな演出が加わりました（これらの水は乗客にはかからないように配慮されています）。また、乗り場へ向かう橋には濃密なミストが発生する仕掛けも追加され、視覚的な楽しさが増しました。

その他の変更点として、待ち列に設置されたモニター映像が、世界中で水が噴き出す現象が発生したというニュース番組風のパロディ映像に更新されました。絶叫優先券専用入口の位置が変更され、乗り場の荷物ロッカーが待ち列側に移設されました。さらに、従来の出口はアトラクションを利用しないゲストでもお猫様の近くまで行けるルートに変更されています。

過去の事例

開業間もない2008年8月5日には、乗客を乗せたボートが巻き上げリフトの頂上付近、地上約18メートルの高さで停止するトラブルが発生しました。これは同日夕方に発生した雷雨の影響で電気系統に不具合が生じ、リフトのセンサーが誤作動を起こしたことが原因でした。このトラブルに対し、迅速にセンサーが交換され、アトラクションは翌日から無事運転を再開しています。

その他

ナガシマスカは、1995年にオープンしたグレート・ザブーン（現在のクール・ジャッパーン）以来、約13年ぶりとなる富士急ハイランドにおける大型ウォーターアトラクションの新設として注目を集めました。

開業当初は、住設機器メーカーであるトステム（現在のLIXIL、現在はスポンサーを撤退）がスポンサーを務めていました。同社の製品「くるりんポイ排水口」と、アトラクションのコース内にある「うずまきの滝」の形状が似ていることがスポンサーシップのきっかけとなったというユニークな背景があります。

アトラクションの順番待ちエリアであるキューラインでは、時折「飛沫三十郎（しぶきさんじゅうろう）」と名乗るキャラクターが現れ、ナガシマスカに関するありがたい話を聞かせたり、ゲストに拍手の練習を促す演出が行われます。この「飛沫三十郎」という名前は、時代劇の主人公「椿三十郎」をもじったものです。

スタッフの衣装は「和」をテーマにしたデザインで、園内の他のアトラクションスタッフと比べても特に華やかで目を引くものとなっています。また、アトラクションの水路には、富士山の天然湧水が使用されています。

富士急ハイランドにある屋外の絶叫アトラクションの多くは、雨や強風などの悪天候時には運休することがありますが、ナガシマスカは雨や比較的強い風の中でも運行が可能という特性があります。これは、悪天候時でもゲストが楽しめるアトラクションを提供することを意図して建設された側面も持っているためと言われています。

ただし、冬季期間中は運用形態が異なり、ボートにアクリル製のカバーが取り付けられ、コース上の水の仕掛けも作動しない形で運用されます。

スペック

全長: 500m
最高部高度: 18m
最高速度: 29km/h
所要時間: 4分30秒
定員: 4名（1台）
料金: 1,500円
乗車規定: 身長110cm以上、年齢65歳未満（身長130cm未満の場合は中学生以上の付き添いが必要）
総工費: 約11億円
* 製造メーカー: HAFEMA Water Rides GmbH（ドイツ）

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