ナゴラン

ナゴラン（Phalaenopsis japonica）

ナゴランは、和名で呼ばれる美しい小型の蘭で、学名はPhalaenopsis japonicaです。この植物はラン科のコチョウラン属に属し、絶滅危惧IB類に指定されています。特に沖縄本島名護岳が発見地として知られ、その地名が和名の由来となっています。

特徴

ナゴランは樹木に着生する特性を持ち、通常、茎は短く、葉は厚みのある革質で、長楕円形をしています。また、葉の先端は鈍く、全縁の形状をしています。葉は葉柄を持たず、互生しながら2列状に配置され、通常は2~6枚の葉を持つことが一般的です。

花は径約3 cmで、淡い緑白色が特徴的です。側萼片には赤紫色の横縞があり、唇弁には斑点が見られます。開花は6月から8月にかけて行われるため、この時期が特に観察に適しています。近年行われた研究により、ナゴランの花粉塊は従来考えられていた2個ではなく、実際には異なるサイズを持つ2対4個であることがわかっています。

分類と属の変遷

最初にナゴランはAerides japonicaとして記載され、その後、Sedirea属に分類されました。しかし、花粉塊の詳細な分析や遺伝子解析によって、SedireaがHygrochilusに含まれることが明らかになり、その結果、Hygrochilus属への移動が行われました。その後、HygrochilusはPhalaenopsisの亜属として再分類され、現在はこの亜属がPhalaenopsis全体の中で4つの主要な群の1つとされています。

YListではナゴランの学名をHygrochilus japonicusとして標準化していますが、POWOはPhalaenopsis japonicaを公式名とし、他の名前をシノニムとしています。ここでは後者の見解に基づいて記述を行います。

分布と生育環境

ナゴランは本州の伊豆半島以西から南西諸島にかけて、生息しています。また、済州島や中国南部にも分布していることが知られています。この植物は山地の常緑広葉樹林内の樹冠や太い枝に着生し、自然環境では非常に特定の条件下で育ちます。しかし、園芸用に盗掘されることが多く、沖縄本島では自生が稀となっています。

参考文献

• - 池原直樹『沖縄植物野外活用図鑑』新星図書出版、1989年。
• - 片野田逸郎『琉球弧・植物図鑑 from AMAMI』南方新社、2019年。
• - 遊川知久『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』平凡社、2021年。

このように、ナゴランは独特な魅力を持つ植物であり、その生態や進化の過程は非常に興味深いものです。今後の保護活動や観察によって、この美しい植物がいつまでも存在し続けることを願っています。

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