ナショナル セミコンダクター

ナショナルセミコンダクター

ナショナルセミコンダクター（National Semiconductor Corporation、略称NSまたはNSC）は、アメリカでアナログ半導体製品を製造していた企業です。本社はカリフォルニア州サンタクララにあり、特に電源回路用部品、ディスプレイドライバ、オペアンプ、通信インタフェース部品、データ変換用部品などの分野で強みを持っていました。主要な市場として携帯電話、ディスプレイ、各種組み込みシステムがありましたが、2011年にテキサス・インスツルメンツ（TI）に買収され、そのシリコンバレー部門に組み込まれました。

歴史

創業期（1960年代）

1959年、スペリーランドの半導体部門を退職した8人の技術者がコネチカット州ダンベリーでナショナルセミコンダクターを創業しました。設立当初、スペリーランドとの間で特許権侵害に関する法廷闘争が起こり、株価は下落しました。この影響を受けたピーター・J・スプラーグは自らの資産を元手に株式を買増し、会長の座を獲得しました。1960年代には、モレクトロを買収し、モノリシック集積回路技術を獲得、さらにはフェアチャイルドの経営陣を引き抜くなど、急速に成長しました。

スポークの時代（1970-80年代）

1970年代から80年代には、チャールズ・E・スポークがCEOとして、競争を強化し、NSを成功に導きました。コスト削減策を徹底し、1981年には初の年間売上高10億ドルを達成。アナログ回路やTTL、MOSFET技術の専門知識を礎に、成長の著しい産業市場に注力しました。しかし、1980年代後半には技術革新に遅れをとり、日本やアジアの企業に対抗するのが難しくなっていきました。

アメリオの時代（1991-96年）

1991年、ギル・アメリオがCEOに就任し、アナログ半導体に特化する戦略を採用しました。過剰設備の整理とコスト削減を進め、1994年には最高売上を記録しました。アメリオは製品群を低利益率のStandard Productsグループと高利益率のCommunications & Computingグループに分け、効率的な運営を図りました。彼の時代には、生産性向上のためのベンチマーキングが行われ、経営の現代化が進められました。

ハラの時代（1996-2011年）

1996年、ブライアン・L・ハラがCEOに就任し、アナログ技術を基盤にした製品開発を加速させました。市場の動向を見据え、PCやグラフィックス分野への進出を模索しましたが、企業買収を通じてテクノロジー不足を補うことに注力しました。2000年代初めには、不採算部門を売却し、事業の再編を進めました。最終的に、2011年にはTIによる買収が成立し、ナショナルセミコンダクターはその歴史に幕を閉じました。

製品

ナショナルセミコンダクターは以下のような製品を提供していました：

• - アナログ回路
• - オペアンプ
• - バッファ
• - コンパレータ
• - 集積回路
• - ディスプレイ回路
• - 三端子レギュレータ
• - 基準電圧回路
• - 音響回路
• - マイクロコントローラ
• - ネットワーク関連製品
• - データコンバータ
• - インタフェース回路
• - 温度センサ

ナショナルセミコンダクターの歴史は、革新と競争が交錯する半導体業界の変遷を象徴する重要な物語です。

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