テキサス・インスツルメンツ

テキサス・インスツルメンツ (Texas Instruments Inc.)

テキサス・インスツルメンツ（TI）は、半導体の開発と製造を手掛ける名高い国際企業で、アメリカのテキサス州ダラスに本社を構えています。略称は「TI」で、1930年に石油探査会社として設立されました。その後、エレクトロニクス部門を中心に再編され、1951年に現在の名称に変更されました。

歴史と革新

TIは、1950年代から半導体業界の先駆者として様々な革新を成し遂げました。1958年には、ジャック・キルビーが集積回路を発明し、これが電子機器の小型化と高性能化を推進する重要な技術として知られるようになりました。さらに、1970年代にはTTL汎用ロジックICとして7400型を発表し、多くの電子機器に広く使用されることとなります。1973年にはマイクロコントローラの特許を取得し、それ以降も様々な分野で活躍しています。

主力製品と市場

TIの主力製品には、デジタル信号処理のためのDSP（デジタル信号プロセッサ）、アナログIC、マイクロコントローラなどがあります。これらは、デジタル情報家電やワイヤレス通信、ブロードバンド市場に欠かせない技術を支えています。2018年時点で、TIはアナログIC市場の最大手としてその地位を確立しています。

さらに、TIは教育機関向けに関数電卓、特にTI-89シリーズを販売しています。これらの電卓は、SAT試験などでの使用が許可されており、多くの学生にとって必需品とされています。日本では、TI製関数電卓の正規代理店として株式会社ナオコが指定されており、保証付きでの販売が行われています。

特許と訴訟

TIは、自社のイノベーションによる特許権を積極的に活用していますが、1980年代にはその特許権を巡って多くの企業と訴訟を繰り広げたことがあります。特に、富士通との訴訟が注目され、最終的には富士通が特許侵害を否定される結果となりました。これにより、TIの特許が無効とされるケースも発生しました。

最近の取り組み

近年、TIはプロジェクターや映像技術の分野にも進出し、DLP（Digital Light Processing）技術の開発を行っています。この技術は、リアプロジェクションテレビやプロジェクターに広く採用され、サムスン電子などの企業でも用いられています。

また、TIはDSPやマイコン以外にも様々な電子部品を製造しており、汎用ロジックIC、オペアンプ、イメージセンサー、RFIDシステムなど、多岐にわたる製品ラインを展開しています。具体的には、TI Burr-Brownシリーズや低消費電力マイクロプロセッサのMSP430などが挙げられます。

経営戦略と展望

1997年以降、TIはソフトウェア部門を外部に売却するなどの経営改革を進め、2006年には制御機器部門を別会社として独立させました。また、米ナショナル セミコンダクター社を合併することで、シリコンバレーの事業を強化しています。

テキサス・インスツルメンツは、今後もテクノロジーの進化に伴い、新たな市場を開拓し続けることでしょう。その創業以来の歴史と革新を誇りに、TIはさらなる成長を目指しています。

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