ナショナルサイクルルート

ナショナルサイクルルート

ナショナルサイクルルートとは、2019年に日本で創設された、国が国内外に誇りうる優れたサイクリングコースを認定する制度です。「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」を選定し、その魅力を広く発信することを目的としています。自転車活用推進法に基づく国の計画のもと、この制度は始まりました。

この制度は、訪日外国人を含む多様なサイクリストが快適かつ安全に走行し、地域を満喫できるよう、必要な環境整備や受け入れ体制に関する様々な要件を定めています。ナショナルサイクルルートとして認定されるためには、以下のようないくつかの厳しい基準を満たす必要があります。

主な認定要件

魅力と安全性を備えたルート設計: 原則100km以上の距離を持ち、地域の景勝地などを結び、狭いトンネルや交通量の多い道を避けた連続したコースであること。（島嶼部など例外あり）
安全・快適な走行環境: 歩行者や自動車との分離、危険箇所での注意喚起、未舗装区間がないこと。自転車保険加入に関する取り組みも考慮されます。
明確なルート表示: ルート全体にブルーラインや看板などが整備され、迷わずに走行できる案内が徹底されていること。
アクセス拠点（ゲートウェイ）の整備: 情報提供、レンタサイクル、修理道具・補給食の購入、簡易整備ができる施設が主要アクセス地点にあり、交通機関からのアクセスも容易であること。
適切な間隔での休憩施設: 約20kmごとに、トイレ、サイクルラック、屋根付き休憩スペース、水補給設備が整備されていること。
自転車を運搬できる交通手段: 一部区間の移動のために、サイクルトレインなど自転車ごと利用できる公共交通機関があること。
サイクリストに優しい宿泊施設: 約60kmごとに、自転車の室内保管、洗濯、荷物預かりなどが可能な宿泊施設があること。
地域資源の活用と地域貢献: 地域魅力を体験できるツアーやイベントが開催されていること。
トラブル対応: 補修部品販売、出張修理、サイクルタクシーなどのサポート体制が整っていること。
緊急時対応: 事故対応のための緊急進入路整備など、迅速なサポートが得られる体制が構築されていること。
容易な情報入手: SNSやルートマップなど、サイクリストが必要な情報に容易にアクセスできる環境があること。
官民連携による質の維持: 行政、観光団体、事業者等が連携し、ルートの質を維持向上させるための継続的な取り組みが行われていること。

認定ルート事例

これまでにナショナルサイクルルートとして指定されたルートは、第一期では「つくば霞ヶ浦りんりんロード」、「ビワイチ（琵琶湖一周）」、「しまなみ海道サイクリングロード」、第二期では「トカプチ400」、「太平洋岸自転車道」、「富山湾岸サイクリングコース」があります。これらは上記の厳しい基準を満たし、日本を代表するサイクリングコースとして国内外に発信されています。これらの指定ルートを含む全国36地域でモデルルートの設定が進められています。

ナショナルサイクルルート制度は、日本の美しい自然や文化を自転車で巡る新たな旅のスタイルを提案し、国内外からの観光客誘致や地域経済の活性化に貢献することが期待されています。

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