ナショナル航空967便墜落事故

ナショナル航空967便墜落事故の概要

1959年11月15日、ナショナル航空967便はフロリダ州タンパ国際空港を離陸し、ニューオリンズ経由でロサンゼルスへ向かう予定でした。夜行便として運航していたこの機体は、巡航高度4300メートルで飛行していましたが、ニューオリンズへの飛行中に消息を絶ちました。967便からの最後の通信では、天候に問題はなかったと報告されています。

翌16日午前0時55分頃、967便はニューオリンズの南東約190kmのメキシコ湾上でレーダーから消失しました。大規模な捜索活動が行われた結果、10名の搭乗者の遺体の一部と機体の残骸が発見されました。しかし、残りの32名の搭乗者と機体の主要部分は発見されませんでした。

事故原因の究明

この事故では、早い段階から機内に爆発物が仕掛けられた可能性が指摘されていました。機体が空中分解したと考えられること、また発見された遺体の一部が焼け焦げていたことが根拠とされています。しかし、爆破によるものと断定できる物的証拠は見つかりませんでした。

捜査の結果、事件に関与した疑いが浮上したのが、自然療法医のロバート・ヴァーノン・スピアーズです。スピアーズは967便に搭乗する予定でしたが、ウィリアム・テイラーという人物を身代わりに乗せ、その後行方をくらませました。事故から2ヶ月後、スピアーズはテイラーの車を不法に所持していた容疑で逮捕されました。警察は、スピアーズが保険金詐欺を企て、テイラーを脅迫して搭乗させ、爆破装置を機内に持ち込ませた疑いがあると見ています。彼は、証拠の回収が困難な洋上で機体を爆破したと考えられていますが、物的証拠の不足から起訴には至りませんでした。

テイラーにかけられていた保険金は、スピアーズの妻に支払われました。その後、スピアーズは1969年に亡くなっています。

事故の真相

ナショナル航空967便墜落事故は、いまだ多くの謎が残された未解決の航空事故です。爆破説は有力視されていますが、証拠不十分のため真相は解明されていません。この事故は、航空史における一つの教訓として、人々に語り継がれています。

参考文献

デビッド・ゲロー著、清水保俊翻訳「航空テロ」 イカロス出版 1997年

外部リンク

Aviation Safety Network
Civil Aeronautics Board Aircraft Accident Report on Flight 967 from the Department of Transport's Special Collections
List of passenger airline bombings from Aerospace.org (967便の情報はページ下部にあります)

もう一度検索