ナジヴァーラド条約

ナジヴァーラド条約（1538年）

ナジヴァーラド条約は、1538年2月24日にトランシルヴァニアのナジヴァーラド（現在のルーマニア・オラデア）で締結された、ハンガリー王位を巡る密約です。当時、ハンガリー王を名乗り対立していたオーストリア大公フェルディナント（後の神聖ローマ皇帝フェルディナント1世）とサポヤイ・ヤーノシュの間で結ばれました。

条約締結の背景

ヴァルナの戦い以降、ハンガリー王位継承問題は混迷を極めていました。オスマン帝国の脅威も増大する中、国内は分裂状態にあり、事態の打開が急務となっていました。そこで、フェルディナントとサポヤイは、互いの勢力を認めつつ、将来的なハンガリー統一を目指すことで合意しました。

条約の内容

ナジヴァーラド条約の主な内容は以下の通りです。

フェルディナントは、サポヤイ・ヤーノシュをハンガリー王ヤーノシュ1世として認め、ハンガリー王国の3分の2の領土を承認する。
サポヤイは、フェルディナントが征服した王国西部の領有権を認めるとともに、子がいない場合、自身の王位継承者とする。

この条約により、サポヤイの死後には再びフェルディナントのもとでハンガリーが統一されるという見込みが立ちました。しかし、この条約はすぐに破られることになります。

条約の破棄とその後

1540年、サポヤイ・ヤーノシュが死去するわずか2週間前に、息子ヤーノシュ・ジグモンドが誕生します。これにより、ナジヴァーラド条約は破棄され、ハンガリー貴族はヤーノシュ・ジグモンドをハンガリー王ヤーノシュ2世として選出しました。また、サポヤイを支援していたオスマン帝国のスレイマン1世もヤーノシュ2世を承認し、東ハンガリー王国をあらためて傘下に収めました。

ハンガリーの分裂と統一

ナジヴァーラド条約の破棄後も、ハンガリー王位をめぐるハプスブルク家とサポヤイ家の争いは続きました。最終的に、1570年にヤーノシュ・ジグモンドがフェルディナントの息子マクシミリアン2世のハンガリー王位を認め、自らはトランシルヴァニア公国を新設することで決着しました。これにより、ハンガリーは三分割された状態が続くことになります。

ハンガリーが統一されるのは、17世紀末のオスマン帝国からの解放後となります。

関連項目

オスマン・ハプスブルク戦争
東ハンガリー王国

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