ナジーノ

ナジーノ

イタリア共和国の北西部、風光明媚な海岸線で知られるリグーリア州のサヴォーナ県に位置する基礎自治体、ナジーノ（イタリア語: Nasino）。この地は、イタリアにおける地方行政の根幹をなす「コムーネ」（Comune）と呼ばれる単位の一つであり、約200人という極めて小規模な人口を擁しています。イタリア国内には数千ものコムーネが存在しますが、ナジーノはその中でも特に住民が少ない部類に入り、静かで落ち着いた生活環境が特徴であると考えられます。

イタリアのコムーネは、日本の市町村に相当する自治体であり、それぞれに首長（シンダコ）と議会が置かれ、地域住民のための行政サービスを担っています。ナジーノもまた、このような制度のもとで運営されており、限られた人口ながらも地域独自の文化や社会生活を維持しています。

地理的に、ナジーノはサヴォーナ県の内陸部に深く入り込んだ地域に位置していると推測されます。この地域は、有名なリグーリア海岸からはやや離れており、より起伏に富んだ地形が広がっている可能性が高いです。特に注目すべきはその隣接自治体との関係性です。ナジーノは、サヴォーナ県内のコムーネだけでなく、東に位置するピエモンテ州のクーネオ県（CN）や、西に位置する同じリグーリア州内のインペリア県（IM）に属するコムーネとも広範囲にわたり境界を接しています。具体的な隣接自治体としては、ピエモンテ州のアルト（Alto CN）やガレッシオ（Garessio CN）、オルメーア（Ormea CN）、そしてインペリア州のアークイラ・ディ・アッローシャ（Aquila d'Arroscia IM）、ランツォ（Ranzo IM）が挙げられます。さらに、サヴォーナ県内のカステルビアンコ（Castelbianco）、エルリ（Erli）、オンツォ（Onzo）とも隣接しており、複雑な地理的なネットワークの中に位置しています。

ナジーノの行政構造は、中心となる集落と複数の「分離集落」（フラツィオーネ）によって構成されています。これは、特に山間部や丘陵地帯のコムーネにしばしば見られる形態で、歴史的な分散居住や地形的な制約が背景にあると考えられます。ナジーノの中心部であり、コムーネの役場などが置かれているのは「ボルゴ（Borgo）」という分離集落です。これに加え、ナジーノ全体は以下のような多数の分離集落によって形成されています：ベオ（Beo）、カザーレ（Casale）、キエーザ（Chiesa）、コスタ（Costa）、ムリーノ（Mulino）、マドンナ・ディ・クラーニャ（Madonna di Curagna）、ペラーティ（Perati）、ヴィニョレット（Vignoletto）、そしてヴィニョーロ（Vignolo）。これらの小さな集落が点在し、それぞれがナジーノという一つの自治体を構成しているのです。

自然災害に対するリスク評価として、イタリアの地震リスク分類ではナジーノは「ゾーン3」に区分されています。これは、イタリア国内の地震活動度に応じて設定された4段階（ゾーン1が最もリスク高く、ゾーン4が最も低い）のうち、中程度のリスクがあるとされるゾーンです。この区分に基づき、地域では地震に対する一定の防災対策や建築基準が求められることになります。

このように、ナジーノはイタリア共和国リグーリア州サヴォーナ県に位置する、人口約200人の小さな基礎自治体です。複数の分離集落から成り立ち、県境を越えた広範囲のコムーネと隣接するなど、その地理的・行政的な特徴は、イタリアの多様な地方コミュニティの一端を示しています。中程度の地震リスクを有する地域でもありますが、その静かで分散した集落構造の中に独自の地域性が息づいていると言えるでしょう。

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