インペリア県

イタリア共和国リグーリア州の最西部に位置するインペリア県は、フランスと国境を接し、南はリグーリア海に面しています。県都はインペリア市ですが、県内で最も人口が多い都市はサンレーモ市です。この県は、南フランスのコート・ダジュールからイタリアのリグーリア海岸にかけて広がる国際的なリゾート地域「リヴィエラ」の一部であり、その中でも特に古くから観光地として発展してきた歴史を持ちます。

インペリア県は東西に細長いリグーリア州の最西端に位置し、北はピエモンテ州、東はサヴォーナ県、西はフランスと隣接しています。地形は変化に富み、北部やフランス国境沿いには山々が連なり、標高2000mを超えるMonte Saccarelloのような山もあります。山地からは海岸に向かって尾根が走り、海岸線は岩がちな岬と小石の多い浜辺が特徴です。河川については、年間を通じて流れるロイア川などがありますが、季節によって水量が変わる川が多いです。海岸地域は地震が多く、過去の地震の痕跡としてブッサナ・ヴェッキアの廃墟などが残されています。

県内の主要な町としては、サンレーモ、インペリア、ヴェンティミーリアなどがあり、主に沿岸部に人口が集中しています。県域はおおよそ西部のヴェンティミーリア周辺、中部サンレーモ周辺、東部インペリア周辺の三つのエリアに分けられます。県全体には多数のコムーネ（基礎自治体）があり、近年では合併も行われています。

この地域は、西隣の南フランス側の海岸地帯と歴史的繋がりが深く、かつてフランス側の一部を含めて同じサルデーニャ王国に属していました。先史時代から居住があり、ローマ時代にはアウレリア街道や都市遺跡が残されています。中世にはサラセン海賊の襲撃に対抗するため、集落が丘の上に築かれ、望楼が建てられました。サヴォイア家とジェノヴァ共和国の間で争われた後、16世紀にジェノヴァ共和国が支配しました。その後、ナポレオン時代などを経てサルデーニャ王国に戻り、19世紀にはサンレーモなどがヨーロッパの富裕層に人気の高級リゾート地として発展しました。県名も市町村合併を経て1927年にインペリア県に改称されています。

インペリア県は、国際的なリゾート地としての観光業が主要な産業です。最大都市サンレーモは、カジノやサンレモ音楽祭で知られます。海岸線には港やマリーナが多く、プレジャーボートの利用が目立ちます。サンレーモやヴェンティミーリア周辺では花卉栽培が盛んで、この地域が「花の海岸」（リヴィエラ・デイ・フィオーリ）と呼ばれる所以です。県都インペリア周辺ではオリーブの栽培と高品質なオリーブ油の製造が重要な産業です。ボルディゲーラで栽培されるヤシは、バチカン宮殿の聖枝祭にも用いられます。

かつてこの地域の海岸線は、19世紀にヨーロッパの富裕層が冬の避寒地として集まる「リヴィエラ」として発展しました。イギリスやロシアの貴族に愛され、ヴィクトリア女王も滞在したとされます。アルフレッド・ノーベル、イタロ・カルヴィーノ、チャイコフスキー、クロード・モネといった著名人もこの地にゆかりがあります。Villa Hanburyの植物園やロシア正教会聖堂は、当時の国際的コミュニティの名残です。現在、インペリア県域の海岸は「リヴィエラ・デイ・フィオーリ」として特に知られ、豊かな花々が名の由来です。フランスとの歴史から、言語や文化、料理にもその影響が見られます。歴史的な建築としては中世の古い村が多く見られます。文化的なイベントとしては、サンレモ音楽祭が有名です。その他、自称「セボルガ公国」や「魔女の村」として知られるトリオーラなど、個性的な村も存在します。

インペリア県の主要な交通網は海岸沿いに整備されています。自動車道A10号線は「アウトストラーダ・デイ・フィオーリ」と呼ばれ、県西端でフランスの高速道路A8号線に接続します。鉄道も海岸沿いを走り、フランス側とも結ばれています。ヴェンティミーリアから北へ向かう路線は、途中でフランス領を通過するという珍しい特徴があります。県内に空港はなく、最も近い国際空港はフランスのニースにあります。

インペリア県は多くの著名人を輩出しており、作家のエドモンド・デ・アミーチス、イタロ・カルヴィーノ、ノーベル賞受賞者のジュリオ・ナッタなどがこの地ゆかりの人物です。

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