ナターシャ・グジー

ナターシャ・グジー：歌声とバンドゥーラが奏でる、希望の物語

ナターシャ・グジーは、ウクライナの豊かな自然の中で生まれ育ち、幼少期にチェルノブイリ原子力発電所事故を経験しました。この悲劇的な出来事が、彼女の人生に深い影を落とす一方、音楽への情熱を育むきっかけにもなりました。ウクライナの伝統楽器であるバンドゥーラの音色に魅せられた彼女は、8歳から音楽学校で研鑽を積み、類まれな才能を開花させます。

1996年と1998年には、チェルノブイリ原発事故で被災した子供たちと結成した民族音楽団の一員として来日。全国各地で救援コンサートを行い、その透き通る歌声と繊細なバンドゥーラの演奏は、多くの日本人の心を打ちました。

2000年以降、本格的に日本で音楽活動を展開。日本語を習得しながら、独自の音楽性を確立。水晶のように澄んだ歌声と、バンドゥーラが奏でる優美な旋律は、人々の心に深く響き、幅広い層から支持を集めるようになりました。

その才能は高く評価され、2005年にはウクライナ大統領来日の際に首相官邸での演奏を披露。さらに、テレビやラジオへの出演、音楽教室や学校での国際理解教室など、活動の幅を広げ、音楽を通じた文化交流に尽力しました。2016年には、日本とウクライナの相互理解促進への貢献が認められ、外務大臣表彰を受賞する栄誉に輝きました。

ナターシャ・グジーの音楽活動は、単なる演奏活動にとどまりません。彼女の音楽には、故郷ウクライナへの深い愛情、チェルノブイリ事故の経験、そして日本での生活の中で培ってきた思いが凝縮されています。それは、聴く者の心に温かい感動と共感を呼び起こす、普遍的なメッセージを伝えています。

数々のアルバムをリリースし、井上鑑氏ら著名な音楽家とのコラボレーションも実現。その作品は、ウクライナの伝統音楽を基盤としながらも、現代的なアレンジが施され、聴き心地の良い音楽に仕上がっています。

2022年、ロシアによるウクライナ侵攻という未曽有の危機に直面。ナターシャ・グジーは、ただ傍観者としてではなく、ウクライナ支援活動の最前線に立ちます。チャリティコンサートツアー「希望の大地」プロジェクトでは、47都道府県を巡る大規模なコンサートを実施。クラウドファンディングやウクライナ文化の紹介など、多角的な支援活動を展開し、ウクライナへの支援を呼びかけています。さらに、現地への物資支援、ウクライナ刺繍製品のフェアトレード販売による支援など、多岐にわたる活動に精力的に取り組んでいます。

ナターシャ・グジーの活動は、音楽の力を借りて、国境を越えた人々の心を繋ぎ、希望の光を灯し続ける、感動的な物語です。彼女の歌声とバンドゥーラの音色は、これからも多くの人々の心に響き渡り続けることでしょう。

ディスコグラフィー

2002年　「セルツェ（こころ）」
2004年　来日5周年記念アルバム『Nataliya（ナタリア）』、クリスマスアルバム『Merry Christmas』
2006年　チェルノブイリ20年救援アルバム『こころに咲く花』、CDブック『ふるさと〜伝えたい想い〜』
2009年　来日10周年記念アルバム『ナタリア2』、クラシックアルバム『ヒーリング』
2014年　来日15周年記念アルバム『旅歌人（コブザーリ）』
2017年　小椋佳作品集『命はいつも生きようとしてる』
2020年　来日20周年記念映像作品集DVD『FILM旅歌人（フィルムコブザーリ）』

主な出演番組

視点・論点（2008年8月6日）
徹子の部屋（2008年4月8日）
24時間テレビ・愛は地球を救う36（2013年8月25日）
* 情熱大陸（2022年8月14日）

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