ナチュラルテイスト製法

ナチュラルテイスト製法：牛乳本来の風味を守る技術

牛乳や乳飲料の製造において、風味を左右する重要な工程に殺菌があります。高温殺菌は細菌を除去する上で有効ですが、同時に牛乳成分の酸化や変性を招き、独特の「加熱臭」が発生する可能性があります。この加熱臭は、牛乳本来の風味を損ない、消費者の満足度を低下させる要因となります。

明治が開発したナチュラルテイスト製法は、この課題を解決するために生まれた革新的な殺菌技術です。従来の高温殺菌とは異なり、原乳（生乳）を加熱殺菌する前に、窒素ガスを特殊なミキサーを用いて原乳中に吹き込みます。この過程で、原乳中に含まれる酸素を効率的に除去することで、加熱殺菌による酸化変性を抑制します。酸素は、加熱過程で牛乳成分と反応し、加熱臭の発生に繋がります。酸素量を減らすことで、この問題を根本的に解決することが可能になりました。

具体的には、まず原乳に窒素ガスを吹き込むことで、酸素を追い出します。この操作には、スタティックミキサーと呼ばれる特殊な機器が用いられています。スタティックミキサーは、原乳を効率的に混合し、窒素ガスを均一に分散させる役割を果たします。酸素が十分に除去された原乳は、その後、加熱殺菌工程に進みます。この加熱殺菌工程でも、酸素の少ない環境を保つ工夫が施され、酸化変性を最小限に抑えるように管理されています。

ナチュラルテイスト製法のメリットは、加熱臭の抑制による風味の向上だけではありません。酸素による酸化が抑えられることで、牛乳本来の栄養成分やフレッシュな風味もより長く保つことが期待できます。そのため、消費者はより風味豊かで、栄養価の高い牛乳や乳飲料を味わうことができるようになります。

明治は、長年にわたる研究開発により、このナチュラルテイスト製法を確立し、特許を取得しています。この技術は、牛乳や乳飲料の品質向上に大きく貢献しており、多くの消費者に支持されています。ナチュラルテイスト製法は、単なる殺菌方法ではなく、牛乳本来の風味と品質を守るための、明治の技術力とこだわりが詰まった製法と言えるでしょう。

近年、消費者の健康志向の高まりとともに、食品の安全性や品質に対する関心も高まっています。ナチュラルテイスト製法は、こうしたニーズに応える技術として、今後もさらなる進化と発展が期待されています。牛乳や乳飲料の製造において、より安全で、より風味豊かな製品を提供するために、ナチュラルテイスト製法は重要な役割を担っていくことでしょう。

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