ナヌムの家

ナヌムの家（House of Sharing）

ナヌムの家（나눔의집）は、日本の軍による慰安婦だったとされる韓国人女性たちのために設立された民間施設です。韓国の京畿道広州市に位置し、運営は韓国の仏教系団体である社会福祉法人大韓仏教曹渓宗によって行われています。ナヌムとは「分かち合い」を意味し、ナヌメチプは「分かち合いの家」を表します。

この施設は、「被害の歴史を昇華させ、世界的な歴史と平和、人権の聖地にすること」を目的とし、寄付金や補助金を集めてきました。しかし、近年この運営には多くの問題が指摘されています。特に、寄付金や補助金の91%以上が内部で搾取されたという疑惑が浮上し、入所者たちに対しては劣悪な環境下での生活が強いられているとされています。また、入所を希望する場合は、「ナヌムの家に対して反発しない」という約定書にサインが求められています。

元慰安婦であるとされる女性たちは、慰安婦問題について日本政府に謝罪や賠償を求め続けており、時にはソウルの日本大使館前で日本政府に対する抗議活動にも参加しています。特に、水曜日に行われる「水曜デモ」と呼ばれる抗議活動には、入所中の数人が関与していることが知られています。

この施設が扱う問題には、日本政府による強制連行の有無など、日韓両国や専門家間での論争が含まれていますが、支援団体は「正しい歴史の認識」を広めることも掲げています。実際、元慰安婦たちが日本との和解を求める際、団体がそれを妨げていたことが明らかになりました。

ナヌムの家は、寄付金だけでなく、日本国内からの活動団体や訪問者からの支援金に依存しており、年間の来訪者数は約1万人、その中の3000～5000人が日本から訪れるとされています。元慰安婦たちの生活支援に充てられるべき資金が適切に使用されていないという報道もあり、2020年には内部の告発が行われました。この告発により、ナヌムの家の運営は厳しく見直されることに繋がりました。

長年の運営において報告された不正行為や寄付金の流用が明らかになるとともに、一部の慰安婦の自由が制限されている状況が浮き彫りになりました。入所者には必要最低限の支援しか提供されず、外出も自由ではないという状態が続いていることが指摘されています。

元慰安婦が亡くなった後、その事実を伝えるために設立された資料館では、彼女たちの胸像が展示されています。2020年5月現在、韓国女性家族部に登録されている元慰安婦の数は240人、その中で生存者は17人です。

ナヌムの家は、慰安婦問題の歴史を語り継ぐ重要な場である一方、運営の透明性や倫理の欠如が深刻な課題となっています。これにより、元慰安婦たちが期待する生活支援が適切に行われることが求められているのが現状です。

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