ナフサ

ナフサについて

ナフサ（naphtha）は、原油を常圧蒸留装置で処理し、特定の沸点範囲の炭化水素を分離することによって得られる製品です。
この製品は、主に沸点範囲が約30°Cから180°Cの間にある炭化水素混合物で構成されています。ナフサは、時に粗製ガソリンや直留ガソリンとも称されることがあります。ナフサの主成分は、炭素数がC8からC10の範囲に該当する芳香族炭化水素です。

ナフサは、その沸点に基づいて二つの主要なカテゴリに分けられます。

軽質ナフサと重質ナフサ

軽質ナフサは沸点が約35°Cから80°Cの範囲にあり、日本では主に石油化学工業においてエチレンプラントの原料として広く使用されています。この軽質ナフサは、国内で精製される輸入原油から製造されるものと、直接ナフサとして輸入されるものがほぼ同じくらいの割合で存在しています。

一方、重質ナフサは沸点範囲が80°Cから180°C程度で、接触改質装置においてガソリンや芳香族炭化水素を製造する原料として利用されています。この重質ナフサは、炭素原子が6個以上の炭化水素を主成分とし、接触改質プロセスでの脱水素環化反応により多量の芳香族炭化水素を生成します。
そのため、オイルライターや、キャンプ用のポータブルストーブなど、ホワイトガソリンとしての使用にも適しています。

また、ナフサには軽質と重質が混合したフルレンジ・ナフサ（full-range naphtha）も存在し、これには幅広い沸点範囲の成分が含まれています。

ナフサの利用

ナフサは燃焼資材として多用途であるだけでなく、増粘剤と組み合わせてナパームとしても使用されることがあります。ナパームは、ナフサを基にした増粘された燃料で、その特性を利用して軍事用途などに用いられることがあるため、その存在には様々な議論があります。

語源

ナフサの語源は、古代の言語にさかのぼります。元々は原油そのものを指していました。ギリシャ語の「νάϕθα」（naphtha）や、ラテン語の「naphtha」に由来し、さらには紀元前18世紀のアッカド語の「napṭu」まで遡ることができます。また、ペルシャ語で「湿っている」を意味する「naft」から派生したという説もあります。

このように、ナフサは石油化学製品の基盤となる重要な物質であり、その用途は多岐にわたります。今後の産業動向にも注目が集まります。

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