ナポリピッツァ

ナポリピッツァ：伝統と技が織りなす、本場の味

ナポリピッツァは、イタリア、ナポリ地方に起源を持つピザの一種です。単なる「ナポリのピザ」という以上の意味を持ち、その名称と伝統的な材料、製造方法は、欧州議会やイタリア議会、地域の職人協会によって厳格に保護されています。そのため、特定の基準を満たしたものだけが「Pizza Napoletana（ピッツァ・ナポレターナ）」を名乗ることが許されます。

この保護は、2008年に欧州連合の伝統的特産品保護（TSG）制度によって認められました。TSGは、特定の製品の伝統的な材料や製造方法を保護する制度であり、ピッツァ・ナポレターナはその対象となっています。この認定により、使用されるチーズは原産地呼称保護（PDO）を受けた特定のチーズと定められており、間接的に製造地も制限されています。さらに、イタリア国内の伝統的農産食品保護制度（PAT）では、カンパニア州の特産品として「pizza napoletana verace artigianale（真のナポリピッツァ）」の名称が保護されています。

「真のナポリピッツァ協会 (Associazione Verace Pizza Napoletana)」や「ナポリピッツァ職人協会（Associazione Pizzaiuoli Napoletani)」といった職人団体も、材料や製法、そして職人の技を厳しく審査し、認証制度を設けています。これらの認定を受けたピッツェリアは、世界中に存在し、日本でも本場の味を体験できる店があります。

ナポリピッツァの特徴

ナポリピッツァの特徴の一つに、コルニチョーネと呼ばれる厚いふちがあります。これは、高温の窯で焼かれる際に空気が膨張し、風船のようにふくらむのが特徴です。

種類

イタリア政府は、ピッツァ・ナポレターナを以下の3種類に定義しています。いずれも直径35cm以下、トッピングはナポリ郊外産であることが条件です。

マリナーラ（Pizza Marinara）: トマト、ニンニク、オレガノを使用。
マルゲリータ（Pizza Margherita）: トマト、モッツァレラチーズ、バジルを使用。イタリア国旗の色をイメージしているといわれています。
* マルゲリータ・エクストラ（Pizza Margherita Extra）: 水牛の乳から作られたモッツァレラチーズを使用。

材料

欧州規定では、ピッツァ・ナポレターナに使用できる材料は厳格に定められています。基本材料は、小麦粉（00番または0番）、醸造用イースト、天然水、トマト（皮むきまたは生）、塩、エクストラヴァージンオリーブオイルです。その他、ニンニク、オレガノ、バジル、モッツァレラSTG、モッツァレラ・ディ・ブーファラ・カンパーナDOP の使用が認められています。

認定ピッツェリアの証

真のナポリピッツァ協会に認定されたピッツェリアには、ナポリの道化師プルチネッラがピザを焼いている看板が掲げられています。これは、本場のナポリピッツァが食べられる証です。

世界無形文化遺産

ナポリピッツァの生地は、職人が手で回して円形に広げます。この伝統的な製法は、2017年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。ナポリ市内には約3000人のピッツァイオーロ（ピザ職人）がおり、その技を守り続けています。

まとめ

ナポリピッツァは、伝統と技が融合した、本場のイタリアの味を代表する料理です。その歴史、材料、製法、そして職人の技は、厳格に守られ、世界中の人々を魅了し続けています。一度は本場の味を堪能してみてはいかがでしょうか。

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