ナミュール包囲戦 (1692年)

ナミュール包囲戦

概要

ナミュール包囲戦は、1692年5月25日から6月30日にかけて、フランスが行ったスペイン領ネーデルラントのナミュールの包囲を指します。この戦闘は、大同盟戦争の一環として実施されており、フランス軍はアウクスブルク同盟の軍勢を打破するために戦略的に重要な要塞であるナミュールを占拠しようとしました。ナミュールはマース川とサンブル川の合流地点に位置し、地政学的な要所であったため、その占領はフランスにとって大きな利点とされていました。

背景

1691年、フランス軍は様々な戦場に対応するために複数の軍を組織しました。1692年の戦役を通じて、フランスはさらに別の軍をフランドル地域で編成し、ナミュール要塞を占領する計画を立てました。この占領によってフランスはオランダと講和を結ぶ機会を得る可能性があり、失敗しても以降の交渉において有利な材料となる見込みがありました。対する英王ウィリアム3世は、ナミュールを奪回するための軍を派遣しました。

包囲の開始

フランス軍は1692年5月25日から26日にかけてナミュールを包囲しました。フランスの包囲軍は、約60,000人の兵士と151門の大砲を備えており、ウィリアム3世の軍勢の進出を防ぐために同じく60,000人規模の監視軍も配置されました。一方、ナミュールに駐屯していたのは約6,000人のスペイン軍でした。包囲は難航する可能性が高い状況にありましたが、指揮官であるヴォーバンは、過去にナミュールを偵察し、防御工事の計画を練っていました。

町の陥落

ナミュールの町は、6月5日に降伏しました。降伏の際、町の防御力は脆弱でした。戦闘中の合意では、フランス軍と同盟軍の間で砲撃を行わないことが取り決められていましたが、この合意は悲劇的な誤解を招く結果となりました。実際には、要塞側からの攻撃が最も重要であったにもかかわらず、その方向からの攻撃は許可されていませんでした。サンブル川が町と要塞を隔てる形で存在していたため、攻撃地点は限られていました。

城塞の陥落

城塞は特に堅固な防衛を施していましたが、フランス軍は6月22日に最後の強襲を行い、守備していたクーホルンを含む200人が降伏しました。この時、クーホルンは最後まで抵抗し、いくつかの砲撃から身を守るよう命じたものの、ついにはその努力も実らず、彼は降伏を余儀なくされました。フランス軍は補給路に問題を抱え、悪天候が続いたこともあって、戦局はますます厳しさを増していきました。

包囲戦の終結とその後

ナミュールの降伏は最終的に6月30日に達成され、残る駐留軍は7月1日に退去しました。フランス軍がこの戦闘で勝利を収めたものの、以降の攻撃は失敗に終わる結果となりました。ナミュールを落としたフランス軍だったが、ウィリアム3世再侵攻の動きに対して準備しなければならない状況にあり、結果として両軍の間にはその後の大きな動きはなく、次第に冬の時期を迎えていきました。

ナミュール包囲戦は、戦略的な勝利ではあったものの、戦争全体の流れにおいて果たした役割には限界があったことも指摘されます。フランスは一時的に優位に立ったものの、全体の戦局を有利に進展させるには至りませんでした。

もう一度検索