城塞

城塞（じょうさい）

城塞は、都市や町の一部に位置する要塞であり、主に支配者やその武力集団を保護する目的で設計されています。これは居住空間としても機能するため、しばしば城館を兼ねています。日本の「城」に相当する存在です。

城塞の特徴

城塞は、城郭都市全体を囲む城壁とは異なり、都市の特定の場所に構築されています。城塞は、都市を統治する者や軍隊、政治家、さらには貴族が避難する場としても利用され、外部からの攻撃や、住民からの反乱からの防衛手段を提供します。

古代・中世の城塞

古代ギリシャにおける城塞は、軍を指揮するために丘の上に築かれ、「アクロ[[ポリス]]」と呼ばれました。ここは人々の日常生活の中心でもありました。武器や食糧の貯蔵庫として機能し、戦争の際には避難場所や籠城の拠点となり、平時には神殿や王宮としても利用されていました。

中世のヨーロッパにおいて城塞は、城郭都市の防衛における最終的な拠点としての役割を持ち、都市が陥落した際には、居残った防衛軍がしばしば城塞に立てこもりました。このとき、背後の安全な地域への撤退路が確保されていることが求められました。

砲兵器の進化により、稜堡式の城壁の設計が進み、城塞もこの変化に対応しました。城塞は、城壁や稜堡の内部に位置することもありましたが、経済活動スペースの確保のために外郭に配置されることが一般的でした。敵が城郭の他の部分に攻撃を仕掛ける際、城塞は最後の防衛線として期待されました。

世界の城塞の名称

アラビア語で城塞は「カスバ」と呼ばれ、アルジェリアなどでは迷路のような旧市街とも関連付けられています。また、スペインではイスラム教徒によって構築された城塞が「アルカサバ」として知られています。現存するアルカサバには、バダホスやグラナダのアルハンブラ宮殿などが含まれています。

ロシア語では城塞を「クレムリ」と呼び、中世ロシアの各都市にはクレムリンがありました。モスクワやカザンのクレムリンが特に有名です。

城塞の具体例

バルセロナの「シウタデリャ」は1714年に建設され、カタルーニャ人への統制のために商業地区の半分が取り壊されて作られました。19世紀に入ると、政治的雰囲気が変化したため、シウタデリャは市民により公園に改造されました。

同様の歴史を持つハンガリーの「ツィタデッラ」も1851年に建設され、反乱を抑えるための威圧として存在していましたが、現在は公園の一部に変わっています。ケベックシティのケベック城塞（ラ・シタデル）も同様に、200年以上の歴史があり、軍用に利用されています。この場所ではフランス語で行われる衛兵交替式が特に有名です。

海事用語としての「シタデル」

軍艦、特に戦艦では、指令塔や砲塔、エンジンルームなどの重要なエリアに高い装甲を施す手法が採用されています。このような防御形式は「シタデル」とも呼ばれています。艦船の排水量を抑えつつ生存性を高めるための方法論であり、特に前[[弩級戦艦]]でよく使われます。日本ではこれと同様の構造を「集中防御方式」として区別することがありますが、海外では必ずしも分けられません。また、商用船でも海賊の襲撃に備えて「シタデル」という安全区域を設置することがあります。

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