ナルシス・ノアール

ナルシス・ノアールについて

『ナルシス・ノアール』は、宝塚歌劇団によって1991年に初演されたレビュー作品で、そのタイトルはフランス語で「黒い水仙」を意味します。この作品は、ギリシャ神話やナルシシズムをテーマにしたロマンティック・レビューシリーズの第六作品目にあたります。初演は星組によって、宝塚大劇場と東京宝塚劇場で展開され、約24場から構成されています。併演作品には『恋人たちの肖像』がありました。

初演のキャストと演出

この作品では、宝塚が誇る実力派スターである日向薫や毬藻えり、さらには紫苑ゆう、麻路さき、白城あやかといった豪華なキャストが揃いました。演出は岡田敬二が手掛け、演技者たちが魅せる迫力あるパフォーマンスと幻想的な舞台美術が見どころとなっています。特に日向薫と毬藻えりにとっては、宝塚歌劇団での最後のレビュー作品となったため、思い入れの深い舞台でもありました。

2013年の再演

2013年には、雪組による『ナルシス・ノアールII』として、全国ツアーで新たな場面が加えられ、再演されました。この再演では新しいスタイルでの表現が試みられ、また異なる解釈がシーンに盛り込まれました。

各章の内容

『ナルシス・ノアール』は音楽や振り付けでも注目され、多様な楽曲が使われています。以下は、作品の各章の概要です。

第一章 プロローグ

序曲が始まると、ボレロのリズムに合わせたナルシストたちが次々と目覚めるシーンから物語がスタートします。ここでは、歌う妖精たちが織りなすトリオやクインテッドが登場し、さまざまなキャラクターが舞台を彩ります。

第二章 月とパリス

月の光が湖を照らす中、美少年パリスが踊りを披露します。この場面では、神々やミューズたちもその姿に魅了され、共に踊り出します。美しさに溢れた幻想的なシーンが描かれています。

第三章 すべては花より甘く香り

花々にまつわるテーマで、スイートピーやライラック、アイリスなど、さまざまな花を象徴するダンサーたちのパフォーマンスが続き、色とりどりの美しいシーンが広がります。

第四章 アンダルシアの孤独

マタドールの姿を通し、自身の影と向き合わせる主人公の苦悩が描かれています。自分自身との対話を通じて、観客に深い感動を与えることでしょう。

第五章 オール・バイ・マイセルフ

ナルシストの青年が過去の記憶に引きずられながら、自身の孤独と向き合います。このシーンでは、表現豊かな歌唱が重要な役割を果たします。

第六章 ナルシスのフィナーレ

ロケットダンスとデュエットのダンスを経て、華やかなフィナーレへとつながります。心温まるラストシーンが印象に残ります。

まとめ

『ナルシス・ノアール』は、ただのレビュー作品にとどまらず、神話的要素と現代的なアプローチが見事に融合した素晴らしい舞台芸術です。時を超えて愛され続けるこの作品は、宝塚歌劇団のレパートリーの中でも特に記憶に残る一作と言えるでしょう。

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