ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡、略してローマン宇宙望遠鏡は、2020年代半ばの打ち上げを予定しているNASAの広視野赤外線宇宙望遠鏡プロジェクトです。このプロジェクトは、国際的な協力のもとで進行中であり、特に日本も関与しています。元々は
WFIRST（Wide Field Infrared Survey Telescope、広視野近赤外線サーベイ宇宙望遠鏡）として知られていましたが、2020年5月20日に正式名称がナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡と発表されました。

ローマン宇宙望遠鏡の名称は、1960年代以降のNASAの宇宙望遠鏡計画において卓越した貢献を果たしたナンシー・グレース・ローマン博士に捧げられています。彼女は、特にハッブル[[宇宙望遠鏡]]の計画実現に向けてNASA内部や議会に対して積極的に働きかけを行ったことで「ハッブルの母」と称されています。

この望遠鏡の開発は、2010年に全米科学アカデミーによって”今後10年間で行う天文研究”の最優先プロジェクトとして認定され、2012年にはアメリカ国家偵察局から提供された口径2.4mの主鏡がベースに使用されることが決定しました。そして、2016年2月17日にWFIRSTはNASAの公式ミッションとして正式に指定されました。

2020年3月2日には、WFIRSTプロジェクトが重要な技術的マイルストーンをクリアし、ハードウェア開発へと進むためのフェーズCに入ることが認められました。この望遠鏡は、ハッブル[[宇宙望遠鏡]]よりも短い波長の近赤外線に特化しており、主鏡の表面には銀のコーティングが施されています。

ローマン宇宙望遠鏡は、多くの科学成果が期待されており、その中には恒星ブラックホールに関連した重力マイクロレンズ効果の観察や、Ia型超新星の観測を通じてのダークエネルギーの解明、系外惑星への直接観測などが含まれています。また、暗黒物質やその候補である「はぐれ惑星」に関する研究も進められる予定です。

設計作業は2021年9月に完了し、2023年8月には通信ケーブルやハーネスのインストールとテストが開始されました。そして、2024年にはコロナグラフ装置の準備やバイザーの展開テストも実施され、広視野機器はゴダード宇宙飛行センターに到着することになります。

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、宇宙の深淵を探るための新しい道を切り拓くことを目的とした、未来の天文学における重要なマイルストーンとなることでしょう。

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