ナンセン国際難民事務所

ナンセン国際難民事務所

ナンセン国際難民事務所（略称：ナンセン事務所）は、スイスのジュネーブを拠点とし、1930年に設立された国際的な難民支援機関です。この事務所は国際連盟によって設立され、フリチョフ・ナンセンの活動を引き継いでいます。ナンセンは、難民の人道的支援に多大な貢献をした人物であり、その功績が認められ、1938年にはノーベル平和賞を受賞しました。

設立の背景

ナンセン事務所は、ナンセンが1922年から行っていた国際的な難民支援活動を継続するために設立されました。設立当初、国際連盟はナンセン事務所の活動に対する管理費を提供しつつ、主な資金は個人からの寄付で賄っていました。そのため、ナンセン・パスポートは有料で発行されていましたが、特定の条件を満たす難民に対しては手数料のみで提供されました。

主な活動内容

ナンセン事務所の活動の基本は、人道的物資の提供と難民の保護に関する国際的な取り決めの実施監視にありました。特に、1930年以前に発生した難民を対象としており、当時の国際的な動向により、新たに発生した難民、特に第三帝国や内戦の影響を受けたスペインからの難民に対しては支援が行き届かない場合が多かったのです。そのため、ナンセン事務所は活動の限界に直面することがありました。

ノーベル平和賞とその後

1938年、ナンセン事務所はその活動が評価されノーベル平和賞を受賞しましたが、同年中にドイツ難民高等弁務官事務所と合併し、国際連盟難民高等弁務官事務所となりました。賞を受けたのはその新しい事務所であり、ナンセン事務所自体が直接に受賞したわけではない点は重要です。なお、1933年に14か国で採択された難民条約は、ナンセン事務所の存在によるものであり、これは初期の人権憲章ともいえる評価を受けています。

難民支援の具体例

ナンセン事務所は具体的な難民支援活動の中で、4万人のアルメニア人をシリアおよびレバノンに設けられた村に移住させ、さらに1万人をエレバンに再定住させる努力をしました。また、1935年以降はパラグアイにおけるザール難民の定住についても成功を収めたことが知られています。

結論

ナンセン国際難民事務所は、その設立と活動を通じて多くの難民に対する大切な支援を行い、国際社会における難民問題への取り組みを強化しました。特に、ナンセン・パスポートは無国籍の難民に対して新たな希望を提供し、彼らに移動の自由をもたらした事例として歴史に名を刻んでいます。今後もこのような人道的取り組みは、国際的な協力と理解のもとに進められていくことが求められます。

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