ナンドロロン

ナンドロロン（Nandrolone）

ナンドロロンは、ごく微量ながら人体にも存在するアナボリックステロイドであり、19-ノルテストステロン（19-nortestosterone）とも呼ばれます。医薬品としては、デカン酸エステル（デカ・デュラボリン）やフェニルプロパン酸エステル（デュラボリン）の形で販売されています。

特徴

ナンドロロンは、他のアナボリックステロイドと比較して副作用が少ないとされ、筋肉増強効果も期待できるため、広く使用されています。主な効果として、筋肉の成長促進、食欲増進、骨密度の向上、赤血球の増加などが挙げられます。1983年にはアメリカ食品医薬品局（FDA）によって認可されました。

通常、3週間ごとに25～50mgの用量で使用されます。強力な筋肉増強効果がある一方で、アナボリックステロイドに共通する男性化作用は比較的弱いとされています。

検出方法

国際オリンピック委員会（IOC）は、尿検査におけるナンドロロンの代謝産物である19-ノルアンドロステロンの上限値を2.0 μg/Lと定めています。この値を超えた場合、ドーピングの疑いが生じます。

使用疑惑が浮上した主なスポーツ選手

過去にナンドロロンの使用疑惑が浮上した主なスポーツ選手は以下の通りです。

エンジェル・マルティーノ
ディーター・バウマン
ブライアン・フレージャー
ジェイソン・ジアンビ
バリー・ボンズ
マリオン・ジョーンズ
ロジャー・クレメンス
ケビン・ブラウン
アンドレ・ベルト
ルイス・オルティス
マッスル北村
ヤープ・スタム
フランク・デ・ブール
エドガー・ダーヴィッツ
ラモン・ラウレアーノ：2021年に使用が発覚し、MLBから80試合の出場停止処分を受けました。
リーキー・カミナ：2023年に創価大学駅伝部在籍時に検出されました。

疑惑を受けた選手の主張

2020年には、陸上競技1500メートルと5000メートルのアメリカ記録保持者であるシェルビー・フーリハンが、ドーピング検査でナンドロロンが検出されたため選手資格を停止されました。フーリハンは、検査の10時間前に購入したブリートに含まれていたブタの内臓肉が原因であり、意図的な摂取ではないと主張しました。

関連項目

* テトラヒドロゲストリノン

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