ナンバースクール (宮城県)

宮城県のナンバースクール：伝統と進学実績を誇る名門校

宮城県におけるナンバースクールとは、県都仙台市に位置し、校名に数字を冠する伝統ある県立高校の通称です。明治時代に創立された旧制中学校・高等女学校をルーツに持ち、高い入学難易度と進学実績で知られています。

本記事では、以下の4校を中心に、その歴史、現状、そして独特の文化について詳しく解説します。

宮城県仙台第一高等学校（一高）：旧制仙台一中を前身とする男子校。2010年に共学化。
宮城県仙台第二高等学校（二高）：旧制仙台二中を前身とする男子校。2007年に共学化。
宮城県宮城第一高等学校（宮一）：旧制宮城第一高等女学校を前身とする女子校。2008年に共学化。
宮城県仙台二華中学校・高等学校（二華）：旧制宮城第二高等女学校を前身とする女子校。2010年に共学化し、中高一貫校へ。

必要に応じて、宮城県仙台第三高等学校（三高）と宮城県仙台三桜高等学校（三桜）にも言及します。

概要

ナンバースクール4校の成立

第二次世界大戦後、GHQの学制改革により、旧制中学校・高等女学校は男女共学の新制高校へと移行しました。しかし、宮城県を含む一部地域では、教育関係者の尽力により、男子校・女子校の別学が維持されました。

その結果、仙台市内には、一高・二高の男子校2校、一女・二女・三女の女子校3校が存在することになりました。高度経済成長期には、新たに三高が男子校として設立されました。

これらのうち、一高・二高、一女・二女の4校は、明治時代からの長い伝統と実績により、高い評価を得ていました。学区制時代には、居住地によって受験できる高校が制限されていたため、これらの4校が地域トップ校としての地位を確立しました。

ナンバースクール4校の現在

2010年の全県一学区化により、居住地による受験制限は撤廃されましたが、ナンバースクール4校の特別な地位は現在も概ね維持されています。

受験業者による入学難易度ランキングでは、二高がトップ、一高、宮一、二華がそれに続くという状況です。

一方で、宮城県の受験産業では、ナンバースクール4校に三高を加えた5校を「難関5校」として扱うこともあります。

ナンバースクールの範囲の揺れ

ナンバースクールの範囲については、以下のように様々な解釈があります。

校名に数字が付く県立高校（一高・二高・三高・宮一・二華・三桜）
校名に数字が付く県立高校かつ進学校（一高・二高・三高・宮一・二華）
校名に数字が付く県立高校かつ進学校かつ旧男子校（一高・二高・三高）

県立高校の一律共学化、旧女子校の改称・改組

宮城県教育委員会による共学化政策により、2007年度から2010年度にかけて、全ての学校が男女共学となりました。旧女子校は改称・改組されましたが、いずれの校名にも数字が残されました。

共学化後、旧男子校では女子生徒の比率が増加しましたが、旧女子校では男子生徒の比率が低いままです。

ナンバースクール4校の詳細

宮城県仙台第一高等学校：文武両道を重んじる自由な校風が特徴。卒業生には各界で活躍する人材が多数。
宮城県仙台第二高等学校：自主性を尊重する教育が特徴。理系分野に強い生徒が多い。
宮城県宮城第一高等学校：理数科を設置し、理系教育に力を入れている。女子教育の伝統を受け継ぐ。
宮城県仙台二華中学校・高等学校：中高一貫教育により、高度な学力を育成。グローバルな視点を持つ人材育成を目指す。

交流

一高二高定期戦：1900年から続く一高と二高の伝統的な対抗戦。硬式野球の定期戦は特に盛り上がり、「杜の都の早慶戦」とも呼ばれる。
一女二女三女運動部定期戦：かつて行われていた旧女子校3校の運動部定期戦。現在は廃止。
ソフトテニス定期戦：一高・二高・三高が参加するソフトテニスの定期戦。

独特の風習

部名：旧女子校における部活の風習。新入生は上級生から部活内での愛称を名付けられる。
制服：一高・二高・宮一は服装自由。二華は制服が定められている。

その他

かつて、仙台市民は一女、二女、三女を「頭の一女、顔の二女、体の三女」と評していました。

参考文献

小林哲夫『「旧制第一中学の面目」：全国47高校を秘蔵データで読む』NHK出版、2022年。
鈴木コータ他『これでいいのか宮城県仙台市：時代の波に乗れない杜の都は崖っぷち！？』マイクロマガジン社、2020年。