ナーガパッティナムの海戦 (1758年)

ナーガパッティナムの海戦：英仏、インド洋で激突

ナーガパッティナムの海戦は、七年戦争（および第三次カーナティック戦争）中の1758年8月3日、インドのカーナティック地方、ナーガパッティナム沖で発生した海戦です。この戦いは、同年4月29日のカダルールの海戦に続き、ジョージ・ポコック率いるイギリス艦隊とアンヌ・アントワーヌ・ダシェ率いるフランス艦隊が相まみえた、2度目の戦闘となりました。

戦いの背景

1758年7月27日、ポコック率いるイギリス艦隊（7隻）は、ダシェ率いるフランス艦隊（9隻）が停泊していたポンディシェリーに姿を現しました。フランス艦隊旗艦である74門戦列艦ゾディアックに座乗していたダシェは、ただちに港を離れ、より有利な風向きを得ようとしました。ポコック率いるイギリス艦隊は、これを追撃します。

前回のカダルールの海戦と同様に、ダシェ率いるフランス艦隊は、艦船数こそポコック艦隊を上回っていたものの、その多くはフランス東インド会社所属であり、フランス海軍の正規艦船と比較すると、その戦闘能力は劣っていました。そのため、両艦隊の戦力は、実質的にはほぼ同程度であったと言えます。

戦闘の経過

8月3日、両艦隊はカリカルとナーガパッティナム沖で再び遭遇し、短時間ながらも激しい戦闘が繰り広げられました。風向きで不利な状況にあったダシェ率いるフランス艦隊は、ポコック率いるイギリス艦隊からの激しい砲撃にさらされることとなります。フランス東インド会社の74門艦コント・ド・プロヴァンスは、あわや拿捕される寸前まで追い込まれました。また、旗艦ゾディアックは炎上し、爆発寸前の状態に陥ったため、ダシェは撤退命令を発令せざるを得ませんでした。しかし、ポコック率いるイギリス艦隊もまた、相応の損害を受けていたため、追撃を断念し、撤退を選択しました。

戦いのその後

この海戦は、決着がつかなかったとされています。両艦隊ともに艦船を失うことはなかったものの、その損傷は甚大であり、ダシェ自身も重傷を負い、フランス島（現在のモーリシャス）へ療養に向かうこととなりました。その後、ダシェが療養から復帰すると、両艦隊は1759年9月10日のポンディシェリーの海戦で、三度目の対決を迎えることになります。

歴史に埋もれた戦い

ナーガパッティナムの海戦は、歴史家の間ではほとんど忘れられた存在となっています。しかし、この海戦は、七年戦争における英仏のインド洋における覇権争いを象徴する出来事の一つとして、記憶されるべきでしょう。

参考文献

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