ナーガパッティナム包囲戦

ナーガパッティナム包囲戦について

ナーガパッティナム包囲戦（1781年）は、第四次英蘭戦争における重要な戦いで、イギリス軍がオランダ領のナーガパッティナム港を攻め落としました。この戦闘は、イギリスとオランダの植民地利権を巡る緊張が高まる中で発生し、インド東海岸での戦闘の幕開けを告げるものでした。

戦の背景

1778年、フランスがアメリカ独立戦争に動員されると、イギリスはフランスの植民地への攻撃を開始します。これを受けて、マイソール王国の実質的支配者であるハイダル・アリーは、イギリスによるマーヒの占領に対抗し、第二次マイソール戦争の火蓋を切りました。この戦争では、マイソール軍が優勢に進撃し、イギリスの拠点であるマドラスを脅かしました。

1780年12月には、オランダがフランスに武器を密輸していたとされ、イギリスが宣戦布告を行いました。オランダの総督ライネル・ファン・フリシンゲンがこの報せを受け取ったのは、約半年遅れの1781年6月でした。この間、ハイダル・アリーの軍は随時ナーガパッティナム近郊を攻撃しており、緊張が高まる中、イギリスは総督マカートニー卿の指揮のもと、反撃を計画します。

包囲作戦の始まり

1781年8月、ファン・フリシンゲンはハイダル・アリーに兵士と物資を送りますが、イギリス軍が接近する中、防御態勢を整え始めます。9月末には、ハイダル・アリーの軍と共に防御線を築き、イギリスの動きを待ちます。マカートニー卿は、各地から兵士を集め、エドワード・ヒューズ提督の支援を受け、10月にはナーガパッティナムに対する攻撃を開始します。

戦闘の初期段階では、イギリス軍は小部隊を使った攻撃が失敗に終わりますが、10月30日に行った戦闘で成功を収めます。この勝利により、オランダ軍の士気は低下し、さらに防御を強化しようとします。

包囲の進行

11月1日には、イギリス側が塹壕掘りを開始し、砲兵隊の準備を進めました。その間、オランダはハイダル・アリーに援軍を求め、いくつかの援軍が送られますが、イギリス軍に対抗するには十分ではありませんでした。ファン・フリシンゲンは残存兵力を使ってイギリス軍を攻撃しようと試みるも、計画はうまくいかず、11月10日になるとナーガパッティナムは火薬も不足し、降伏を余儀なくされます。

降伏とその後

11月12日、オランダ軍は正式に降伏し、この結果、イギリスはナーガパッティナムとその周辺地域を掌握します。この戦闘後、オランダは敗因を分析し、ファン・フリシンゲンの指揮に疑念を抱くことになります。イギリスはその後、セイロン島や他のオランダ植民地を攻撃し、1778年に始まった戦争は1784年まで続きましたが、ナーガパッティナムだけはオランダに返還されることになります。

この包囲戦は、イギリスとオランダ間の植民地を巡る争いの一環であり、その後の植民地戦争の行く先を決定づける重要な出来事となりました。

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