ナーシ

ナーシ（Наши）について

ナーシ（ナシ）は、過去に存在したロシアの青少年団体であり、その名称はロシア語で「私たち」という意を持ち、直訳すれば「我らが祖国」や「我らのロシア」となることから、広義には「友軍」や「仲間」と称されることもありました。この団体は2005年4月に政治家ワシーリー・ヤケメンコによって設立され、彼はすでに親プーチン団体「共に歩く」の設立にも関わっていました。

設立と目的

ナーシの正式名称は「民主主義・反ファシスト青年運動」であり、その目的はファシズムからロシアを守ることです。ヤケメンコの主張に従うと、この組織は増大するネオナチ勢力に対抗するために創設されたとされています。必要に応じて、組織は暴力的手段を辞さない姿勢を示しました。また、同団体は特に国家ボリシェヴィキ党を特定の敵として扱い、さらにアメリカを含む反プーチン勢力全般に対しても敵意を向けていました。

組織の成長と活動

ナーシは設立当初から若者の間で急速に支持を受け、最盛期には全ロシアで約10万人の会員を有するまでに成長しました。活動内容としては、政府の政策支持を表明するデモ活動や愛国的なイベントの開催が主であり、ウラジーミル・プーチン大統領への忠誠心や崇拝を強調しました。

しかしながら、愛国主義的なアプローチは時にファシズムに似ていると批判され、「ナーシズム」や「プーチンユーゲント」と揶揄されることもありました。

さて、2008年にプーチン政権が安定すると、ナーシのキャンプへの参加者は減少し、個人崇拝も薄れていきました。2009年の時点では、組織は存続していましたが、政府の宣伝活動を行う必要が薄れたことも影響していたと考えられます。公式サイトでは、アメリカ合衆国、イギリス、日本を「ロシアの脅威」として描いた画像が公開されており、反西側の立場を明確にしていました。

活動の変遷と終焉

2012年にはプーチン誕生日を祝うデモを行ったものの、次第にメディアの報道も減り、2013年には活動がほぼ停止しました。それ以降は収入も激減し、2019年12月には清算結了が宣言されました。清算結了時の名称は「主権民主主義促進のための全ロシア公共団体」とされており、活動目的も変更されていた可能性があります。

まとめ

ナーシは、ロシアにおける青少年の愛国心を高め、政府支持の姿勢を発信する役割を持っていた組織です。しかし、時代の変化と政権の安定により、次第にその影響力は縮小し、最終的には解散を余儀なくされました。メンバーシップのピーク時には多くの支持を得ていたものの、後にその存在は次第に影が薄くなりました。

もう一度検索