ナースセンター

ナースセンター

ナースセンターとは、1992年（平成4年）に成立した「看護師等の人材確保の促進に関する法律」を根拠に設立された公的な機関です。この法律に基づき、看護師をはじめとする看護職員の就業促進や人材確保に関する事業を適切に進めるための指定法人として位置づけられています。保健医療の質の向上への貢献を目的とし、日本全国にネットワークを構築しています。各都道府県には必ず一つ「都道府県ナースセンター」が設置され、地域に根差した看護職員の確保対策に取り組みます。また、全国的な調整や支援を行う「中央ナースセンター」も設置されています。

都道府県ナースセンター

都道府県ナースセンターは、都道府県知事が指定した法人であり、地域での看護職員確保活動を通じて保健医療サービスの向上に寄与することを目的とします。指定は各都道府県で一つに限られ、多くは地域の看護協会が担っています。

地域における看護職員の再就業支援や離職防止など、人材確保対策の推進が期待されており、多様な業務を行います。主な業務は以下の通りです。

地域の看護職員の確保状況や、就業希望者の動向調査。
専門知識や技能向上のための研修実施。
看護職員への情報提供、相談、支援。
病院等の開設者等への人材確保に関する情報提供、相談、支援。
無料の職業紹介事業。
看護職員の就業促進に関する情報提供、相談、支援。
看護への啓発活動。
その他、看護職員確保に必要な業務。

特に職業紹介と就業促進支援は、地方公共団体や公共職業安定所などと緊密に連携して行われます。必要な情報を官公署に求めることも可能です。役員や職員には守秘義務があります。受理した求人・求職情報は、一定期間経過後に公共職業安定所へ提供されます。

看護師等免許保持者の届出制度

この制度は、2015年（平成27年）10月1日の改正法施行で導入されました。これは、就業していない潜在的な看護職員の状況把握を可能にし、復職支援を強化するためです。これまで、就業者の「業務従事者届」はありましたが、離職者の状況把握は困難でした。

免許を持つ方は、以下のいずれかに該当する場合に、住所や氏名などの必要事項を都道府県ナースセンターへ届け出るよう努めることが求められています（努力義務）。

病院などを離職した場合
看護業務等に従事しなくなった場合
免許取得後、直ちに従事する見込みがない場合

届け出る事項は、氏名、生年月日、住所、連絡先、免許登録番号・登録年月日、現在の就業状況などです。変更時も届け出るよう努めます。病院等の開設者などは、届出が適切に行われるよう必要な支援を行うこととされています。

中央ナースセンター

中央ナースセンターは、厚生労働大臣が指定した法人であり、全国を通じて一つに限られます。現在、日本看護協会が担っています。その目的は、都道府県ナースセンター業務の連絡調整や支援を通じて、その健全な発展を図り、全国的な視点から看護職員確保を推進し、保健医療の向上に貢献することです。

主な業務は以下の通りです。

都道府県ナースセンター業務に関する啓発活動。
都道府県ナースセンター業務の連絡調整、指導、支援。
都道府県センター業務に関連する情報・資料の収集と提供。
複数都道府県にまたがる広域的な看護啓発活動。
その他、都道府県センターの発展と看護職員確保に必要な業務。

中央ナースセンターの役員や職員にも守秘義務があります。

まとめ

ナースセンターは、都道府県ナースセンターと中央ナースセンターからなる全国的なネットワークとして、看護職員の確保と資質向上を支援し、国民の保健医療を支える重要な役割を担っています。職業紹介、研修、相談、情報提供、啓発活動など多様なサービスを提供し、特に届出制度は潜在看護職員の復職支援強化を目指すものです。「eナースセンター」なども活動を補完し、災害時や離島・へき地への人材確保支援も行われています。ナースセンターは、看護職員が働き続けられる環境づくりと、必要な医療・看護提供体制の維持に貢献しています。

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