ナーラーイ

ナーラーイ王の生涯と業績

ナーラーイ王（1633年2月16日 - 1688年7月11日）は、タイのアユタヤー王朝の重要な王であり、ラーマティボーディー3世とも称されています。彼の治世はアユタヤー王朝の黄金時代とされ、外交や文化の面で数多くの業績を残しました。

王位への道

ナーラーイ王は、プラーサートトーン王が亡くなった際、兄のサンペット6世（チャオファー・チャイ）が王位に就くことを不服とし、叔父のシースタンマラーチャーと共にサンペット6世を殺害しました。その後、叔父をサンペット7世として即位させますが、すぐに不仲になり、自ら王として即位しました。このようにしてナーラーイ王は権力の頂点に立つことができました。

軍事的業績

1663年、モン族がタウングー朝から逃れてアユタヤーに移住し、王に帰化を求めました。ナーラーイ王は彼らを保護しましたが、この事を不快に思ったビルマがモン族の返還を求めて攻撃してきました。ナーラーイ王は反撃し、現在のカーンチャナブリー・サイヨークでタウングー軍を打ち破りました。続いて翌年にはタウングー本国への侵攻を試みますが、兵糧が尽きて撤退を余儀なくされました。

文化と外交の発展

ナーラーイ王の治世には、シープラートやプラ・マハーラーチャクルー、クン・テープカウィーなどの文学者が台頭し、アユタヤー王朝の文学は繁栄を迎えました。さらに、ナーラーイ王は外交面でも大きな進展を遂げました。在任中、イギリス人やフランス人が頻繁にアユタヤーを訪れ、ナーラーイ王は彼らに商業の自由を許可しました。王自身も王船を用意し、アジア諸国と積極的に貿易を行いました。

また、ローマ教皇アレクサンデル7世とフランスのルイ14世の宣教師がアユタヤーを訪れ、教育や医療の面でも貢献しました。特にフランスからの外交官シュバリエ・ド・ショーモンは、ナーラーイ王にキリスト教への改宗を説得しましたが、彼はそれに応じることはありませんでした。

オランダとの対立

一方、1664年にはタイ華僑とオランダ人商人の対立が発生しました。華僑によるオランダ人の工場襲撃がきっかけで、翌年にはオランダ東インド会社が武装した船でバンコク湾を封鎖。ナーラーイ王は渋々オランダの要求を受け入れました。この出来事以降、彼はオランダ人に対する信頼を失い、国内の副都としてロッブリーを建設しました。

遺産と評価

1670年にはギリシャ人のコンスタンティン・フォールコンがアユタヤーを訪れ、高級官吏として実権を握りました。1673年にはルイ14世からの親書に応じたが、返礼使節が難破するなどトラブルが続きました。その後もフランスとの交流は続くも、彼の死後に急速に悪化し、タイは閉鎖的な政策を取るようになりました。

ナーラーイ王は、タイ三大王には名を連ねませんが、「大王」の称号を受けており、その治世はアユタヤー王朝における文学や外交の面での重要な時代として評価されています。彼のリーダーシップの下、アユタヤーは国際的な交流を深め、文化面でも大きな成果を上げました。

このような背景をもって、ナーラーイ王の治世はアユタヤー栄華の一ページとして記憶されています。

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