ニウエと中国の関係

ニウエと中華人民共和国の関係

本稿では、ニウエと中華人民共和国（中国）の間の外交関係について詳しく解説します。両国間の関係は、2000年代後半に急速に発展し、現在に至っています。

関係の略歴

2008年10月18日、中国初の在ニウエ大使である張立民が、ニウエの首相トケ・タランギに信任状を提出し、正式に両国間の外交関係が始まりました。張大使は、在ニュージーランド中国大使も兼任していました。この動きは、中国が太平洋地域への影響力を拡大しようとする意図を示すものと見ることができます。

2009年7月、タランギ首相は、ニュージーランドからの開発援助が十分でない場合、中国に支援を求める可能性を示唆しました。これは、ニウエが外交政策においてより柔軟な姿勢を取ることを示唆するものでした。

中国とニウエの国交樹立は、中国とオセアニア地域の関係というより広い文脈で捉えることができます。オセアニアの独立国は、中華人民共和国（中国）か中華民国（台湾）のどちらかと外交・経済関係を維持しており、ニウエの選択は、この地域の地政学的な動向を反映しています。

国交樹立までの背景

ニウエと中国の国交は、両国間の様々な協議を経て樹立されました。2004年、中国の温家宝首相は、ニウエが暴風被害を受けた際に、当時のニウエ首相ヤング・ビビアンに弔意を示す電報を送りました。2006年4月には、フィジーで開催された「中国・太平洋島嶼国経済開発協力フォーラム」において、温首相とビビアン首相が会談しました。また、2006年8月1日には、ビビアン首相と李肇星元中国外相がウェリントンで協議を行い、2007年6月にはビビアン首相が中国を訪問しています。これらの出来事は、両国間の関係が徐々に深まっていたことを示しています。

ニウエは、太平洋諸島フォーラムの加盟国であり、その他多くの地域機関や国際機関にも参加しています。国際連合の加盟国ではありませんが、国連海洋法条約、国連気候変動枠組条約、オタワ条約、ラロトンガ条約などの国際条約には締約国として参加しています。

ニウエ憲法との関係

ニウエは、1974年9月3日の投票で憲法を承認して以来、ニュージーランドと自由連合を組んで自治を行ってきました。ニウエは内政に関しては全責任を負っていますが、対外的な立場は明確に決まっているわけではありません。ニウエ憲法制定法の第6条には、対外関係に関する規定があります。

ニウエは、2007年12月12日に中華人民共和国と外交関係を樹立しました。ニウエの憲法上の立場とは関係なく、ニュージーランド政府に他国と外交関係を樹立する能力があることは明らかです。ニュージーランド政府のウェブサイトでは、ニウエの外交問題と国防は、ニュージーランドの責任であると伝統的にみなされていると述べられています。しかし、ニウエと中国の国交樹立の前に、ニュージーランドとニウエの間で十分な協議が行われたかどうかは明確ではありません。そのため、ニウエ当局が憲法で定められた権限を逸脱した可能性も指摘されています。

また、ニウエと中国の間で調印された共同声明と、ニュージーランドと中国の間で形成された合意には、台湾の扱いに関して違いがあります。ニュージーランドは台湾に対する中国の立場を認識しつつも、明確に認めてはいません。一方で、ニウエは「世界に中国は一つしかなく、中華人民共和国政府が中国全体を代表する唯一の政府であり、台湾は中国の不可分な領土である」という中国の立場を明確に認めています。批評家の中には、ニウエがニュージーランドとの自由連合を維持しながら、ニュージーランドの助言を無視して独自の外交関係を樹立できるのか、疑問視する声もあります。ニウエの外交政策は、ニュージーランドとの関係、中国との関係、そして地域的な地政学的な状況を踏まえた上で、今後の展開を注視していく必要があるでしょう。

もう一度検索