ニガナ

ニガナ（苦菜）について

ニガナ（学名：Ixeris dentata）は、キク科に属する多年草です。日本では古くから親しまれており、道端や田畑、山野など、身近な場所で自生している姿を見ることができます。東アジアの温帯から亜熱帯地域にかけて広く分布しており、環境によってその姿を変化させる多形性を持つことが特徴です。

特徴

ニガナは、高さが約40cmから70cmほどに成長します。茎は上部で枝分かれし、全体に白い汁を含んでいます。この汁には苦味があり、和名の由来となっています。根から生える葉は長い柄を持ち、茎に付く葉は基部が茎を抱くように生えます。また、下の方の葉ほど細長い形をしているのも特徴です。

5月から7月にかけて、茎の先に黄色い花を咲かせます。花は、5〜7個の舌状花が集まった頭花で、一見すると5弁の花のように見えます。雄しべは筒状に合着しており、その中に先端が二つに分かれた雌しべを抱え込むようにして存在しています。

食用としてのニガナ

ニガナは、地域によっては食用としても利用されています。特に沖縄では、「ンジャナ」という名で親しまれており、汁物やかき揚げ、白和えなど、様々な料理に使われています。市場に出回っているものは苦味が少ないように栽培されたものが多いですが、海岸近くに自生するものは、特に苦味が強いとされています。

沖縄では、古くからニガナを薬草としても利用しており、風邪で熱が出た際に、鮒（フナ）と一緒に煮込んで煎じ薬として飲んでいたという歴史もあります（ターイユシンジー）。

沖縄民謡の童歌「ウーマクーカマデー」の歌詞にも、「ンジャナバー」と鮒を意味する「タイユ」が登場し、沖縄の生活文化とニガナが深く結びついていることが伺えます。

変種

ニガナには、いくつかの変種が知られています。

タカネニガナ (Ixeris dentata var. alpicola)
クモマニガナ (Ixeris dentata var. kimurana)
シロバナニガナ (Ixeris dentata var. albiflora)
ハナニガナ（オオバナニガナ）(Ixeris dentata var. amplifolia)

これらの変種は、それぞれ生育環境や形態に特徴があります。

まとめ

ニガナは、身近な場所で見られる野草でありながら、地域によっては食用や薬用としても利用されてきた、人々の生活と密接に関わってきた植物です。その苦味や、沖縄での独特の利用法は、日本の多様な文化を物語る一例と言えるでしょう。

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