ニキータ・ミハルコフ

ニキータ・セルゲーヴィチ・ミハルコフ

ニキータ・セルゲーヴィチ・ミハルコフは、ソビエト連邦およびロシアにおける著名な映画監督、脚本家、俳優です。1945年10月21日にモスクワで生まれた彼は、芸術家の家庭で育ちました。父は国歌作詞者のセルゲイ・ミハルコフであり、母も詩人です。幼少期からモスクワ芸術座において演技を学び、兄のアンドレイ・ミハルコフ＝コンチャロフスキーも映画監督として名を馳せています。

来歴

1960年代には俳優として活動し、1964年にゲオルギー・ダネリヤの『僕はモスクワを歩く』で主演を果たしました。兄の作品にも出演し、映画界での評価を高めていきました。その後、全ソ国立映画大学に進学し、ミハイル・ロンムの指導の下で映画製作を学びました。1974年には彼の初の長編映画『光と影のバラード』が公開され、以降も多くの作品を手掛けました。

彼の代表作には、1976年の『愛の奴隷』や、1977年の『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』があり、特に後者はサン・セバスティアン国際映画祭でグランプリを受賞しました。1991年には『ウルガ』が第48回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞し、1994年の『太陽に灼かれて』はカンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞しました。さらに、同作は1995年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けました。

2000年代には『シベリアの理髪師』などのヒット作を生み出し、2007年には『12人の怒れる男』を発表しました。また、2010年代には『太陽に灼かれて』の続編となる『戦火のナージャ』及び『遥かなる勝利へ』を制作し、三部作を完成させました。彼の作品には、しばしば家族や歴史への深い思索が反映されています。

最近の問題発言

しかし、近年のミハルコフは一部の発言で物議を醸しています。特に、2022年8月に自身のYouTubeチャンネル「БесогонTV」にて、ウクライナで死亡した囚人コンスタンチン・トゥリノフを英雄視したことで注目を浴びました。この囚人は、自白を強要するために同房者を拷問した過去があり、彼の言動は大きな批判を受けました。ミハルコフは、その囚人の悪行について一切触れておらず、彼の発言はロシアの権力構造に対する黙認ともとられています。

さらに、トゥリノフはロシア軍によるウクライナ侵攻に参加させるために刑務所から選ばれた初の囚人の一人で、彼を英雄化することは、多くの人々にとって受け入れ難い理念の持ち主としてのイメージを強める要因となっています。グラグ・ネットの創設者であるウラジーミル・オセチキンは、彼の発言を強く非難し、トゥリノフのような囚人が国家の利益のために利用される危険性を指摘しています。

作品の集大成

ミハルコフの作品は、彼自身の人生と相まって、ロシアの社会や歴史に対する深い洞察を提供しています。その作品の数々は、多くの賞を受賞し、国際的にも評価が高いですが、彼の最近の言動はその評価に影を落としています。彼の映画は、今後も多くの映画ファンや批評家によって注目され続けることでしょう。

もう一度検索