ニコライ・チーホノフ

ニコライ・アレクサンドロヴィチ・チーホノフ

ニコライ・アレクサンドロヴィチ・チーホノフ（1905-1997）は、ソビエト連邦の著名な政治家であり、閣僚会議議長として知られています。1940年にソ連共産党に入党し、彼のキャリアは造船技師として始まりました。1963年には国家計画委員会副議長に就任し、その後副首相、第一副首相と、順調に昇進していきました。1979年には共産党政治局員として、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフの4人の書記長の下で首相を務めました。

生い立ちと初期のキャリア

ニコライ・チーホノフは、1905年5月14日、ロシア帝国のウクライナ、ハルキウで生まれました。1930年にドニエプロペトロフスク冶金大学を卒業し、冶金工場に勤務を始めます。この間に彼は上級技師に昇進し、業界での基盤を固めました。特にブレジネフと共の関係は、彼の後の政界での成功に大きな影響を与えました。

中央政界への進出

1940年代後半、チーホノフはウクライナで工場支配人としての経験を重ね、1950年には冶金工業省に入省しました。その後、次官や国家科学経済会議の議長を歴任し、積極的に政治活動に関与しました。1964年にはブレジネフが第一書記に就任すると、閣僚会議副議長に引き上げられ、重要な役割を果たしました。

首相としての活動

1980年10月、コスイギンの辞任を受けて、75歳で閣僚会議議長に就任しました。在任中、彼はソ連経済の問題を認識していましたが、改革を行うことなく過ごしました。この期間中、少子化の問題に対応すべく育児休暇の制度を推進するなどの施策を打ち出しましたが、全体的な経済改革には消極的でした。

アンドロポフ・チェルネンコ政権下で

チーホノフは、ブレジネフの死後の1982年にチェルネンコを支持しましたが、実際にはアンドロポフが書記長に選ばれました。その後、アンドロポフ政権において、彼は様々な政治的対立に巻き込まれ、高齢のために彼の影響力は次第に減少していきました。アンドロポフの死後、チェルネンコが書記長になった際も、チーホノフはその地位にとどまりましたが、実権は他の政治家に移っていきました。

ゴルバチョフ政権と退陣

ゴルバチョフが書記長に就任すると、チーホノフは新設された管理システム改善委員会の議長に就任しましたが、実権を持たない名ばかりの役職でした。彼はチーホノフ国防相の支持によって長年の地位を保っていましたが、1985年には「健康上の問題」を理由に辞任し、その後は公の場から姿を消しました。1990年に退任してからは、静かに余生を過ごしました。

最後の歳月

晩年のチーホノフは、公に姿を現すことはほとんどありませんでした。1991年のソ連崩壊後、彼は年金生活に入り、1997年6月1日、92歳で亡くなりました。彼の政策は後世にほとんど影響を与えず、外交・防衛政策に関する経験不足が指摘される中、彼の記憶は薄れていきました。チーホノフは保守的な政治家として知られる一方で、時代の流れに乗ることができなかった象徴的な存在でもありました。

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