ニコラス・ブラウン

ニコラス・ブラウンの生涯

ニコラス・ブラウン（Nicholas Brown、1726年没）は、カリブ海地域やジャマイカで活動していたイギリスの海賊です。彼の経歴は、スリリングな海賊行為や、悲劇的な最期に彩られた物語であり、その内容は海賊の歴史において重要な一コマを形成しています。

海賊への道

1717年9月5日、当時のイギリス国王ジョージ1世が発した布告により、海賊たちは1年以内に投降すれば恩赦が与えられることになりました。ブラウンもこの恩赦の対象となった一人ですが、彼はすぐに再び海賊の道に戻ってしまいました。彼の生涯は、海賊としての栄光だけではなく、恐怖の象徴ともなった行動で構成されています。

その後、ブラウンはスペインのキューバ植民地の総督に投降することになりましたが、1722年に彼は再び海賊仲間クリストファー・ウィンターと共にトリニダードから出航し、ジャマイカ北岸でさまざまな犯罪行為に手を染めました。特に印象的なのは、セント・アンでの無慈悲な虐殺で、子供を含む16人が家ごと焼き殺されるという凄惨な出来事がありました。これによってジャマイカのニコラス・ロウズ総督は、ブラウンとウィンターの身柄を要求しましたが、トリニダードの市長がその要求を拒否したことにより、ブラウンたちには懸賞金がかけられる事態になりました。

拐帯と掠奪

さらに、1723年にはブラウンはイスパニョーラ島近くで300人の奴隷を乗せたイギリス船を襲撃し、乗組員たちを漂流させるという大胆不敵な行動に出ました。その後、彼は掠奪した品を合法的な商品として売り捌くために奴隷を利用するなど、倫理観を欠いた商業行為を行いました。海賊としての彼の行動は、単なる掠奪を超え、他者の命をも軽視したものであることがわかります。

最期の時

1726年11月、ブラウンはカマグエイでスループ船の船長ジョン・ドラッジと再会しました。ドラッジはかつてブラウンの学友であり、彼が海賊として手配されていることを知っていました。ドラッジは自らの部下を利用してブラウンを追跡し、ついに拘束に成功します。しかし、ブラウンはその際に傷を負い、その傷がもとで命を落とすことになります。ドラッジはブラウンの首を斬り落とし、それをラム酒に漬け込んでスパニッシュ・タウンの議会に持参しました。この行動により、ドラッジは500ポンドの報酬を受け取ることができました。

まとめ

ニコラス・ブラウンの生涯は、海賊という存在の象徴ともいえる凶悪さと、最期の運命を示しています。彼の行動は海賊のイメージを深めると共に、歴史に残る一つの教訓ともなっています。海賊としての悪名高き経歴と、同時にその無惨な結末が、今も多くの人々の心に残り続けることでしょう。

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