ニコラ・ランクレ

ニコラ・ランクレ（Nicolas Lancret、1690年1月22日 - 1743年9月14日）は、フランスの画家であり、雅宴画（fêtes galantes）と呼ばれる、戸外で会話や音楽を楽しむ人々を描くジャンルで人気を博しました。

生涯

パリで生まれたランクレは、当初、王立絵画彫刻アカデミーの画家ピエール・デュランに師事しました。その後、クロード・ジローのスタジオで6年間学び、このジローの弟子には、後に雅宴画を流行させるアントワーヌ・ヴァトーもいました。ランクレは、ヴァトーに次ぐ雅宴画の代表的な画家として名を上げ、1719年には王立絵画彫刻アカデミーの会員に選出されています。

1720年代後半にジローとヴァトーが相次いで亡くなると、雅宴画のジャンルは、ヴァトーの弟子であったジャン＝バティスト・パテルとランクレが中心となって牽引していくことになりました。

ランクレは、戸外での宴会や村の祭り、劇場で上演される演目などを題材に作品を制作しました。彼のスタイルはヴァトーの影響を受けていますが、絵画の躍動感においてはヴァトーに及ばないという評価もあります。しかし、その独自の表現力で多くの人々を魅了し、人気画家としての地位を確立しました。1735年には、王立絵画彫刻アカデミーの評議員に任命されています。

ランクレの作品は、プロイセン王フリードリヒ2世などの王侯貴族にも収集され、また、多くの作品が版画として出版され、広く一般にも知られるようになりました。

作品の特徴

ランクレの作品は、優雅で洗練された雰囲気が特徴です。彼は、当時の貴族社会の生活や風俗を、繊細な筆致と色彩で描き出しました。また、人物の表情や仕草を巧みに捉え、生き生きとした人間ドラマを表現しています。

主要作品

庭園でのダンス
ブランコ
鳥籠
ハムの昼食
冬
夏の庭

参考文献

Philip Hendy: The National Gallery London. Thames & Hudson, London 1975, ISBN 0-500-18006-7.
Mary T. Holmes (Hrsg.): Nicolas Lancret (1690-1743). Abrams, New York 1991, ISBN 0-8109-3559-7 (Begleitbuch zur gleichnamigen Ausstellung).
Christoph Martin Vogtherr: Französische Gemälde I: Watteau • Pater • Lancret • Lajoüe. 2011. ISBN 978-3-05-004652-5. Bestandskataloge der Kunstsammlungen
Georges Wildenstein: Lancret. Biographie et catalogue critiques. Les Beaux-Arts, Paris 1924.

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