ニコラ・レッシーニョ

ニコラ・レッシーニョ（Nicola Rescigno, 1916年5月28日 - 2008年8月4日）は、アメリカ合衆国出身の指揮者であり、オペラ界において多大な功績を残しました。

生い立ちと初期のキャリア

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のトランペット奏者の家庭に生まれたレッシーニョは、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ちました。1929年より、イルデブランド・ピツェッティ、ヴィットリオ・ジャンニーニ、ジョルジオ・ポラッコといった著名な音楽家から指導を受け、音楽の才能を開花させていきました。

1943年、ブルックリン音楽院でのジュゼッペ・ヴェルディのオペラ《椿姫》の上演を指揮し、指揮者としてデビューを果たします。その後、サン・カルロ・オペラのアメリカ巡業に同行し、その名声を確立。コネチカットやハバナの歌劇場で音楽監督を務めるなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。

シカゴ・リリック・オペラとダラス・オペラ

1953年、レッシーニョはシカゴ・リリック・オペラを創設し、1956年まで音楽監督としてその運営に尽力しました。1957年にはダラス・オペラの設立にも尽力し、発起人の一人として名を連ね、1990年まで長きにわたり音楽監督を務めました。ダラス・オペラでは、数々の名演を指揮し、オペラハウスの発展に大きく貢献しました。

名歌手のアメリカ・デビューを支える

レッシーニョは、マリア・カラス、モンセラート・カバリェ、プラシド・ドミンゴ、ジョーン・サザーランド、テレサ・ベルガンサ、ジョン・ヴィッカーズ、マグダ・オリヴェロといった、オペラ界を代表する名歌手たちのアメリカ・デビューにおいて、伴奏を務めたことでも広く知られています。また、演出家のフランコ・ゼフィレッリのアメリカ・デビューの際には指揮者を務めるなど、多くの才能の育成にも貢献しました。

メトロポリタン歌劇場への出演と晩年

1978年からは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にも出演し、イタリア・オペラのスペシャリストとしてその手腕を発揮しました。彼の指揮は、作品の持つ美しさやドラマ性を最大限に引き出すと評され、多くの観客を魅了しました。

2008年8月4日、レッシーニョはイタリアのヴィテルボの病院で亡くなりました。彼の死は、オペラ界にとって大きな損失であり、その功績は今後も語り継がれることでしょう。

レッシーニョは、その長きにわたるキャリアを通じて、アメリカのオペラ界の発展に大きく貢献しました。彼の音楽に対する情熱と才能は、多くの人々に感銘を与え、次世代の音楽家たちに多大な影響を与えました。

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