ニコラ1世 (モンテネグロ王)

ニコラ1世の生涯と業績

ニコラ1世（1841年10月7日 - 1921年3月1日）は、モンテネグロ公および後に国王として名を馳せた歴史的人物である。彼は1860年から1910年までモンテネグロ公として在位し、その後1910年から1918年まで国王として治世を行った。また、ニコラは詩人としても知られ、モンテネグロの国民歌「Onamo, 'namo」を作詞した。

彼の人生は、伯父であるモンテネグロ公ダニーロ1世の死去に伴い、公位を継承することから始まった。ニコラはオスマン帝国からの独立を目指し、数々の独立闘争を指導した。この一連の動きは、バルカン地域全体の政治状況に大きな影響を与えることとなる。

1878年、露土戦争が終結し、サン・ステファノ条約が結ばれた。この条約はその後、ベルリン会議を経て修正され、ベルリン条約として知られるようになった。これにより、モンテネグロはオスマン帝国からの独立を国際的に認められることとなる。こうした歴史的な背景は、ニコラ1世が将来のモンテネグロにおいて果たす役割の重要性を示している。

ニコラは1905年に憲法を改正し、1910年にモンテネグロ国王に即位した。彼の治世のもとで、モンテネグロは近代国家としての基盤を強化していく。1912年には、ギリシャやセルビア、ブルガリアと共にバルカン同盟を結成し、オスマン帝国に対する立場を強化。第一次バルカン戦争では連携した戦力を駆使して勝利を収めた。

その後、ブルガリアが1913年に第二次バルカン戦争を引き起こし、それに対抗することとなる。しかし、モンテネグロは連合国側として参加した第一次世界大戦の間に、中央同盟国であるオーストリア＝ハンガリーに占領され、ニコラ1世はフランスへ亡命する事態となった。間もなくモンテネグロはセルビアに占領され、1918年にはセルブ・クロアート・スロヴェーン王国に取り込まれることになったが、ニコラ1世はその後もモンテネグロ王位を主張し続けた。

彼の死後、ニコラ1世の遺体は1989年に故国モンテネグロに戻され、そこに安置された。

家族とのつながり

ニコラ1世は1860年に領主の娘であるミレナ・ヴコティッチと結婚し、3男9女をもうけた。彼の子女は国際的な王家に嫁ぐこととなり、「ヨーロッパの義父」と称されることとなる。特に、長女のリュビツァはセルビア国王ペータル1世の妃になり、またミリツァはロシア大公の妃となるなど、ニコラの家族は各国の王政に深く関与していった。

ニコラ1世の家族には、彼の子女の多くが他国の王家へと嫁いでいるため、彼の血筋はヨーロッパ全域にわたる広がりを持っている。ニコラの家族は、モンテネグロの国際的な存在感を増すための重要な役割を果たしたと言える。

勲章と栄誉

ニコラ1世は、大勲位菊花大綬章などの勲章を受章していることでも知られ、彼の卓越した業績は今でも賞賛され続けている。また、彼に関連する文化作品の中で特に注目されるのは、フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』の主人公が、ニコラ1世から名誉勲章を受けていたという点である。彼の足跡は、モンテネグロだけでなく、広く歴史に名を刻むこととなった。

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