ニビル (仮説上の惑星)

ニビルの真相

ニビル（英語: Nibiru）とは、作家ゼカリア・シッチンによる著書「The 12th Planet（第12番惑星）」に記された架空の惑星であり、しばしば終末論に関連して言及されます。この惑星は太陽系に存在するとされており、4〜5倍の大きさと20〜25倍の質量を持つと設定されています。

惑星X仮説との混同

1982年、アメリカ海軍天文台のロバート・ハリントンが、木星や海王星、冥王星の軌道における摂動を発見しました。これにより、冥王星の外側に存在すると思われる未発見の天体が「惑星X」と呼ばれるようになりました。この説は、後にNASAによる探査機の観測によって否定され、惑星X仮説は廃れつつあります。しかし、ニビルと惑星Xはしばしば混同されます。

サーチ文学で広く知られるニビルの存在は、シッチンがシュメール文明に基づいて設定したものであり、彼の記述は多くの天文学者から批判されています。シッチンは実際の古文書を誤解して解釈し、彼自身の理論を展開しました。実際に、シュメール語での「ニビル」は川の分岐点や船着き場を指す言葉であり、彼の著書におけるニビルの意味は誤って解釈されたものです。

民間信仰と終末論の関係

ニビルは、終末論やドゥームズデー・カルトにおいて頻繁に取り上げられ、地球との接近により人類が滅亡するというストーリーが創作されています。実際、2003年には日本の宗教団体が「ニビルが地球に衝突すると主張」し、大きな注目を集めました。しかし、NASAや科学者たちは、ニビルに関する主張を全て否定しています。

実際には、ニビルが存在するならば、その巨大な質量や影響が観測できるはずです。過去の観測データによると、太陽系内には木星質量を持つ天体は確認されていません。また、ニビルのような天体が接近する場合には、多くの天文学的事象が観測されるはずですが、それも起こっていません。

シュメール文明への影響と誤解

ゼカリアの著書では、ニビルに住む生命体アヌンナキが3,600年ごとに地球に訪れるといった物語が展開されます。しかし、このような内容は学術的な根拠に基づいたものではなく、研究者たちからは誤解であると反論されています。アヌンナキやニビルに関する記述は、シュメール文献の恣意的な解釈によるもので、実際の研究成果とは異なります。

さらに、シッチンの理論は、天文物理学的には成立しないものであり、全くの架空の物語とされています。生命体が存在するための環境がニビルには全く整っていないため、知的生命体が進化すること自体が不自然です。

実在の可能性と影響

ニビルについての噂は広まり続けていますが、実際はその存在を裏付ける証拠は見つかっていません。2016年にはプラネット・ナインの存在が示唆されましたが、それはニビルとは無関係です。この太陽系内の仮説的な惑星は、非常に遠くにあるとされ、その特徴もニビルとは全く異なります。

結論として、ニビルはシッチンの著書から発生した幻想であり、実際には科学的な根拠は存在しません。終末論に利用されることが多いですが、その存在は完全に否定されているため、真に受けるべきではありません。様々な原稿やメディアがニビルに取り上げられますが、基盤にあるのはあくまでもフィクションであることを忘れないでください。

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