ニュルンベルク城伯

ニュルンベルク城伯：中世の領邦君主

ニュルンベルク城伯は、中世の神聖ローマ帝国に存在した領邦君主であり、その歴史は11世紀に遡ります。この記事では、ニュルンベルク城伯の成立から消滅までの歴史、歴代の城伯、そして領邦の構成について詳しく解説します。

歴史

成立と発展

ニュルンベルク城伯領の起源は、11世紀初頭、ペグニッツ川沿いの岩山に神聖ローマ皇帝によって築かれた城に遡ります。1040年頃、ハインリヒ3世がバンベルク司教の勢力下に対抗する拠点を築こうとしたのが始まりとされています。1105年頃、ニーダーエステライヒ地方の貴族ラープス伯家がこの城に封ぜられ、ニュルンベルク城伯が誕生しました。ラープス伯家は、城塞周辺からニュルンベルク城伯領を拡大し、勢力範囲を広げていきました。

1190年、ラープス伯家のコンラート2世が後継者なく亡くなると、婿であるツォレルン家のフリードリヒ1世が遺領を継承し、1191年にニュルンベルク城伯に封じられました。これにより、ツォレルン家がニュルンベルク城伯領を正式に領有することとなり、以後、神聖ローマ帝国の終焉まで統治を続けました。14世紀以降、ツォレルン家はホーエンツォレルン家を称するようになります。

ホーエンツォレルン家は、巧みな領土拡大戦略によって、特にオーバーフランケンからミッテルフランケンにかけての地域で支配領域を拡大しました。相続や模範的な金融政策によって、ヴンジーデル、アルツベルク、シャウエンシュタイン＝ヘルムブレヒツ、ミュンヒベルク、ホーフ、ゼルプなどを獲得し、勢力を拡大しました。これらの地域は、「山地の上」地方（obergebirgische Land）と呼ばれ、ニュルンベルク城伯領の一部を構成しました。

また、ホーエンツォレルン家は、「山地の下」地方（untergebirgische Land）においても、アンスバッハを含む代官領を獲得し、フォイヒトヴァンゲン、ウッフェンハイム、クライルスハイムなどの都市や市場町を勢力下に収めました。

1273年、ハプスブルク家の皇帝ルドルフ1世は、ニュルンベルクの皇帝管轄の地方裁判所をフリードリヒ3世に託しました。これは、ホーエンツォレルン家にとって政治的影響力を強める好機となりました。15世紀には、裁判所をアンスバッハの新しい宮廷内に移転しました。

ホーエンツォレルン家の権力拡大に伴い、バイエルンのヴィッテルスバッハ家、ヴュルツブルク司教、帝国自由都市ニュルンベルクといった他の帝国内勢力との対立も激化しました。1420年には、バイエルン＝インゴルシュタット公ルートヴィヒ7世の軍勢によってニュルンベルク城伯の城が破壊される事態にまで発展しました。ホーエンツォレルン家は、この城を再建せず、1415年にブランデンブルク選帝侯を兼ねたフリードリヒ6世が1427年に帝国自由都市ニュルンベルクに売却しました。この売却によって、国法上、ニュルンベルク城伯は消滅したとみなされます。その後、ニュルンベルク城伯の旧領からは、ホーエンツォレルン家一門が統治するブランデンブルク＝アンスバッハ辺境伯領とブランデンブルク＝クルムバッハ辺境伯領が形成されました。

歴代城伯

以下に、歴代のニュルンベルク城伯を列記します。

ラープス伯家

1105年頃 – 1137年頃：ゴットフリート2世・フォン・ラープス
1137年頃 – 1143年頃：コンラート1世・フォン・ラープス
1143年頃 – 1160年頃：ゴットフリート3世・フォン・ラープス
1160年頃 – 1191年頃：コンラート2世・フォン・ラープス

ホーエンツォレルン家

1192年 – 1200年：フリードリヒ1世
1204年 – 1218年：フリードリヒ2世
1218年 – 1261年：コンラート1世
1261年 – 1297年：フリードリヒ3世
1297年 – 1300年：ヨハン1世
1300年 – 1332年：フリードリヒ4世
1332年 – 1357年：ヨハン2世
1357年 – 1397年：フリードリヒ5世
1397年 – 1420年：ヨハン3世
1397年 – 1427年：フリードリヒ6世

領邦の構成

1397年にニュルンベルク城伯領が分割された結果、「山地の上」地方（obergebirgische Land）と「山地の下」地方（untergebirgische Land）の2つの地域が形成されました。

Obergebirgisches Land

「山地の上」地方は、主に現在のオーバーフランケンに位置し、バイロイトを首邑としていました。後にクルムバッハのプラッセンブルク城に統治機構が移され、クルムバッハ侯領（後のバイロイト侯領）へと発展しました。

Untergebirgisches Land

「山地の下」地方は、主に現在のミッテルフランケンに位置し、初めはカードルツブルク、後にアンスバッハを首都としました。その後、アンスバッハ侯領へと発展しました。

ニュルンベルク城伯は、中世の神聖ローマ帝国において重要な役割を果たした領邦君主でした。その歴史は、ホーエンツォレルン家の台頭と密接に結びついており、後のブランデンブルク＝プロイセンの発展にも影響を与えました。

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