ニューアーバニズム

ニューアーバニズム（新都市主義）

ニューアーバニズム、新都市主義（英: New Urbanism）は、1980年代後半から1990年代にかけて主に北アメリカで発生した新たな都市設計のアプローチです。この考え方は、都市が持続可能で、人々が快適に暮らせる環境を整えることを目指しています。ヨーロッパにおいては「コンパクトシティ」、イギリスでは「アーバンビレッジ」という似たような理念が展開されています。

アメリカにおける発展

1980年代に入ると、交通手段としての自動車依存の高まりと共に、郊外開発が進行しましたが、この流れに対する批判としてニューアーバニズムが提唱されました。この運動は、いわゆる「伝統回帰的都市計画」として知られています。その核となるのは、鉄道駅を中心に商業や住宅が配置されるコンセプトであり、公共交通機関の利用の促進を意図したものです。実際にポートランドなどでは、鉄道駅を基軸にした「パークアンドライド」などのプランが実施されています。ニューアーバニズムの推進者たちは、地域から地区レベルまで幅広く土地利用の改善を目的とし、これが都市計画や都市設計に大きな影響を与えてきました。

彼らのビジョンには、人々が日常生活で自転車や公共交通を優先する、「職住近接」のまちづくりがあります。その中で、ピーター・カルソープやアンドレス・デュアーニらによって提案された「アワニー原則」（1991年）と、それを土台にした「ニューアーバニズム憲章」（1996年）は、この運動の指針となっています。

シーサイドの開発例

フロリダ州シーサイドは、ニューアーバニズムの実践例として特に有名です。このプロジェクトは1981年に始まり、デュアーニ・プラター＝ザイベック社が手がけました。シーサイドでは、古き良きアメリカの町を模した歩行者中心の設計が重視され、デザインコードの統一が図られています。32ヘクタールの敷地には、350戸の住宅、200の集合住宅、ホテル、商業施設が整然と配置され、美しい街並みが形成されています。この街は映画『トゥルーマン・ショー』（1998年）のロケ地としても知られ、多くの人々にその理念が広まっています。

コンパクトシティの試み

このようなニュアーバニズムの理念は、日本でも少なからず取り入れられています。特に「コンパクトシティ」という言葉が広まり、青森市、仙台市、稚内市など北日本の都市や神戸市などでの施策がその代表です。コンパクトシティでは、都市のスリム化や公共交通の充実、住環境の整備が施されており、住民がより豊かな生活を送るための基盤が整えられています。

ニューアーバニズムの意義

このようにニューアーバニズムは、都市が機能的で心地よい環境を提供するために重要な役割を果たしています。公共交通が整った職住近接の生活は、過度に自動車に依存することなく、より災害に強く、持続可能な社会の実現に貢献できると考えられています。また、地域コミュニティの強化や人々の交流の促進にも寄与することが期待されています。ニューアーバニズムは、良好な生活環境を求める新しい時代の都市設計の一つの形を示しているのです。

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