ニューカマー

ニューカマー：日本社会における新たな多文化共生

1980年代以降、日本に長期滞在する外国人、特にアジア諸国からの移民を「ニューカマー」と呼びます。これは、戦後既に日本に住む外国人コミュニティと区別するための概念です。ニューカマーには、韓国・朝鮮系、中国系、ブラジル系日系人など多様な背景を持つ人々が含まれます。対照的に、それ以前から日本に住む外国人やその子孫は「旧来外国人」「オールドタイマー」などと呼ばれます。

ニューカマーの急増：背景と要因

日本の在留外国人の数は、1980年代以降急増しました。1959年には67万人だった在留カード登録数は、1984年には84万人と緩やかな増加でしたが、その後は加速し、1990年には100万人、2005年には200万人を突破しました。この急増には、いくつかの要因が挙げられます。

まず、国際情勢の変化があります。1972年の日中国交正常化、1979年の台湾における海外出国自由化は、多くのアジアの人々にとって日本への渡航を容易にしました。一方、日本国内では、1983年の中曽根内閣による「留学生10万人計画」など、グローバル化推進政策が実施されました。さらに、1980年代後半のバブル景気による労働力不足も、外国人労働者の受け入れを促進する要因となりました。

ただし、日本政府が正規に未熟練外国人労働者の受け入れを政策として明確に打ち出したわけではありませんでした。しかし、社会経済状況の変化が、結果としてアジアからの移民を受け入れる土壌を作ったと言えるでしょう。1990年代のバブル崩壊後、中小企業のコスト削減や安価な労働力確保の必要性から、外国人労働者への依存度はさらに高まりました。1990年の出入国管理及び[[難民認定法]]改正や、1993年の技能実習制度導入も、長期滞在する外国人労働者の増加に影響を与えました。

ニューカマーの居住状況：都市部から郊外へ

1980年代後半から1990年代に来日したニューカマーは、大都市中心部、特に日本語学校や専門学校が集まる地域（例えば東京新宿区大久保や豊島区池袋周辺）に多く居住していました。これは、就学生や留学生が多かったこと、アルバイトの機会が多かったこと、そして比較的安価な賃貸住宅が利用できたことなどが主な理由です。

しかし、1990年代後半以降、ニューカマーの増加に伴い、中心部の賃貸住宅不足や高騰が問題となりました。そのため、ニューカマーの居住地は鉄道沿線に沿って郊外へと分散していきました。東京周辺では、隅田川以東、千葉県京葉線沿い、埼玉県埼京線・京浜東北線沿い、神奈川県東海道線・東急東横線沿いに、ニューカマーの居住地が広がっていったのです。山下清海氏の研究では、川口芝園団地における華人ニューカマーの集住化が指摘され、パリのチャイナタウンとの類似性も示唆されています。

地域特性：都市部への集中

2016年末時点のデータを見ると、在留外国人の数は都道府県間で大きな格差があります。最も多い東京都は約50万人に対し、最も少ない秋田県は約3600人と、100倍以上の差があります。10万人を超える都府県は、東京都、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県、兵庫県と、いずれも工業地帯に位置しており、産業構造との関連性が指摘されています。

まとめ

ニューカマーの増加は、日本社会のグローバル化と密接に関連しています。経済状況、政府政策、国際情勢など、様々な要因が複雑に絡み合って、現在の多様な社会構造を作り上げてきました。今後の日本社会において、ニューカマーとの共生はますます重要な課題となるでしょう。多文化共生社会の実現のためには、更なる理解と努力が必要です。

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