ニューキノロン

ニューキノロンについて

ニューキノロン（New Quinolone）は人工的に合成された抗菌薬の一群で、特に感染症の治療に利用されています。この薬剤群は、DNAジャイレースという酵素を阻害することで、細菌を殺す作用を持っています。化学的には、フルオロキノロン（fluoroquinolone）とも呼ばれ、キノロンの構造を基にした薬剤です。経口で投与可能であり、副作用が比較的少ないとされ、広く使用されていますが、適切な診断の下での使用が重要です。

使用の注意点

感染症の診断を正確に行うことで、多くのケースでは抗菌薬なしで治療できる可能性があります。特に、ニューキノロン系抗菌薬は結核菌に対しても効果があるため、軽率に使用すると診断が遅れ、適切な治療開始が妨げられます。

2016年には、アメリカ食品医薬品局（FDA）がニューキノロンに関連する副作用の警告を強化しました。これには、腱炎や腱断裂、関節痛、筋痛、末梢神経障害、そして中枢神経系に対する影響（幻覚、不安、うつ病、不眠など）が含まれます。これらの副作用は使用開始から数日後または数か月後に発現することがあり、不可逆的なものも存在します。さらに、高用量のロメフロキサシンは、中枢神経への抑制作用を引き起こすことが知られています。

世代による分類

ニューキノロンにはいくつかの世代があり、それぞれの作用特性が異なります。第IIa世代には、ナジフロキサシンやシプロフロキサシンなどがあり、主に尿路感染症に使われてきました。第III世代は、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌にも効果を示します。第IV世代は、呼吸器感染症に特に効くとされ、「レスピラトリーキノロン」という呼称もあります。

特に注目すべきは、ニューキノロンの副作用の中に、血糖異常や腱の異常、光線過敏症などが見られ、特に高齢者においてはアキレス腱の断裂が危惧されます。また、GABA受容体に拮抗作用を示すことがあり、これにより中枢神経系に影響を及ぼす可能性もあります。

薬物相互作用

ニューキノロンは他の薬物と相互作用を示すことがあり、特にCOX阻害薬との併用は注意が必要です。金属を含む薬剤、例えば制酸剤や鉄剤などと併用すると、相互作用により吸収が阻害される恐れがあります。このため、服用時間をずらすことが推奨されています。

治療の選択

抗菌薬としてよく使われるのはオフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシンです。これらは好気性グラム陰性菌には著効しますが、それ以外の効果に関しては差があります。シプロフロキサシンは特に耐性化しやすく、代替としてリファンピシンとの併用が考慮される場合もあります。

使用例としては、尿路感染症に対してシプロフロキサシンやレボフロキサシンが投与されますが、これらが必ずしも最も効果的な薬であるとは限りません。市中肺炎の治療でも、ニューキノロンは最初の選択肢とはされず、他の抗菌薬が推奨されることが多いです。特に、フルオロキノロンのような広域抗菌薬の使用は、抗菌薬耐性菌の拡大を助長するため、注意が必要です。

薬剤耐性の問題

ニューキノロンに対する耐性の獲得は急速に進行することがあり、大腸菌を含む多くの病原体は耐性を示します。欧州では、畜産業におけるキノロンの使用が耐性の獲得と関連していると考えられています。抗菌薬の誤用は、その耐性獲得を加速するため、適切な処方が重要です。特に、2002年には多くの急性呼吸器感染症でニューキノロンが不適切に処方されていたことが明らかになっています。

まとめ

ニューキノロンは有効な抗菌薬ですが、その使用に関しては副作用や耐性問題に十分な配慮が必要です。適切な診断と慎重な使用が求められます。

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