グラム陰性菌

グラム陰性菌について

グラム陰性菌（英: gram-negative bacteria）とは、細菌の一群で、グラム染色法における染色特性によって特定されます。この方法では、まずクリスタルバイオレットで細菌を染色し、その後脱色処理を行うと、グラム陰性菌は色が抜け、最後にサフラニンを使用することで赤または桃色に染まります。この特徴は、グラム陽性菌が紫色に染まるのとは対照的です。

特徴

グラム陰性菌の代表的な特徴には、以下のものがあります：

• - 細胞膜: 内膜と外膜を持つ二重膜構造。
• - ペプチドグリカン層: 薄い層であり、グラム陽性菌に比べて沈着しやすい。
• - 外膜: リポ多糖（LPS）を含み、これが内毒素として機能します。
• - ポリン: 外膜には特定の分子通過を許可する穴（ポリン）が存在します。
• - ペリプラズム: ペプチドグリカンと内部膜との間の領域です。
• - 鞭毛の構造: 鞭毛を持つ細菌は、4つの補助のリングを持つことがあります。
• - 芽胞形成: 多くのグラム陰性菌は芽胞を形成しませんが、例外としてCoxiella burnettiがあります。

代表的な種

グラム陰性菌には、主にプロテオバクテリアが含まれており、代表的な菌種には大腸菌やサルモネラ、シュードモナスなどが挙げられます。他にもシアノバクテリアやスピロヘータ、バクテロイデスなど多様なグループがあります。

また、グラム陰性菌は細菌の大部分を占めており、病原性を持つものも多く、感染症の原因とされることが多いです。特に、医学的に重要なグラム陰性菌には、インフルエンザ菌やヘリコバクター・ピロリなどがあります。これらは呼吸器や消化器系の疾患を引き起こす可能性があります。

病原性

グラム陰性菌の病原性には、外膜に含まれるリポ多糖（LPS）が重要な役割を果たします。LPSは内毒素として機能し、体内に侵入すると炎症反応を引き起こし、高熱やショック、低血圧を引き起こすことがあります。このため、エンドトキシンショックが発生することもあり、重症化すると致命的になることもあります。

治療法

グラム陰性菌はその外膜により、抗生物質に対する耐性を示すことが多いです。リゾチームやペニシリンなどの抗生物質は、これらの細菌に対して効果を示さないことが多いため、特別な治療法が必要です。例えば、EDTAを用いることでバイ菌の外膜に対抗し、ペニシリン系の抗生物質を使う試みも行われています。クロラムフェニコールやストレプトマイシン、ナリジクス酸などもグラム陰性菌に効果があるとされています。

まとめ

グラム陰性菌は細菌の中でも特異な膜構造と染色特性を持ち、数多くの重要な病原体を含むグループです。これらは医療において注意を要する存在であり、治療法の開発が続けられています。

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