ニュージーランドの映画

ニュージーランド映画：歴史と発展

この文章では、ニュージーランド映画の歴史と発展について、初期の段階から現代までの変遷を詳細に解説します。国際的な成功を収めた作品群と、その裏にある課題にも触れながら、ニュージーランド映画界の現状と未来を探ります。

初期

ニュージーランドにおける映画の上映は、1896年10月13日、オークランドのオペラハウスで始まりました。初期の映画製作は、アルフレッド・ホワイトハウスなどの先駆者たちによって支えられ、1900年にはニュージーランド最古の現存映画『The Departure of the Second Contingent for the Boer War』が制作されました。ニュージーランド初の長編映画は1914年の『Hinemoa』です。

1920～1960年代

1920年代から1960年代にかけてのニュージーランド映画産業は、規模が小さく、多くの作品がドキュメンタリー映画でした。Rudall Hayward監督などの活動や、独立系映画監督ジョン・オシェアのPacific Filmsによる作品群など、限られたながらも重要な作品が制作されました。この時代には、政府設立のNational Film Unitによるドキュメンタリーや宣伝映画も制作され、1970年の日本万国博覧会のために制作された『This is New Zealand』は、ニュージーランド国内でも劇場公開されました。

1970～1980年代：産業の振興と国際的進出

1970年代には、ニュージーランド映画産業の振興を目的としたニュージーランド・フィルム・コミッション(New Zealand Film Commission)が設立されました。この設立を機に映画製作が盛んになり、ニュージーランド映画界は新たな発展期を迎えました。1977年、ロジャー・ドナルドソン監督の『テロリストたちの夜/自由への挽歌』がアメリカで公開され、サム・ニールをスターダムに押し上げ、国際的な注目を集めました。1981年には『明日なき疾走』などのヒット作が生まれ、ジェフ・マーフィー監督はハリウッドに招かれました。マーフィー監督はその後も『UTU(ウツ)/復讐』や『クワイエット・アース』などの作品を制作し、ニュージーランド映画界に貢献しました。1987年には、マオリ人の監督・脚本家による『ナッティ』が世界的に話題を呼びました。

1990年代以降：国際的な成功と課題

1993年、ジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』がアカデミー賞4部門を受賞し、ニュージーランド映画は国際的な評価を獲得しました。ピーター・ジャクソン監督の『乙女の祈り』やリー・タマホリ監督の『ワンス・ウォリアーズ』なども高い評価を受けました。しかし、この成功にもかかわらず、多くの才能ある映画人がハリウッドへ活動の場を移すという課題も存在しました。

ピーター・ジャクソン監督は、ニュージーランドを拠点に活動し続け、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を監督しました。この大ヒット作は、ニュージーランドの映画産業に大きな経済効果をもたらし、多くのハリウッド映画の撮影がニュージーランドで行われるようになりました。しかし、高予算の国際的な作品への資金集中が、地元映画の製作を圧迫するといった問題も指摘されています。

それでも、『In My Father's Den』や『世界最速のインディアン』といった地元制作の映画も成功を収め、ニュージーランド映画界の多様性を示しました。特に『世界最速のインディアン』は、興行収入で新たな記録を打ち立てました。

近年は、ピーター・ジャクソンによるウェタ・ワークショップの拡大、そしてジェームズ・キャメロンやディズニーなどによる作品制作を通して、ニュージーランドは世界的な映画製作拠点としての地位を確立しつつあります。しかし、高額な報酬に慣れたハリウッドスタッフの採用コストや、国際的な作品への資金偏在などの課題も残されています。

まとめ

ニュージーランド映画は、長い歴史の中で、独自の文化と才能を世界に発信してきました。国際的な成功と、それに伴う課題を乗り越えながら、ニュージーランド映画界は独自の道を歩み続けています。今後の発展にも注目が集まります。

外部リンク

* New Zealand Film Archive

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