リー・タマホリ

リー・タマホリ

リー・タマホリ（Lee Tamahori、1950年6月17日生まれ）は、ニュージーランドのウェリントンで生まれた映画監督です。彼は先住民マオリの血を引いており、他方でイギリス系の母を持つという背景を持っています。この独特のルーツは彼の作品に色濃く反映されており、特にマオリの文化や社会問題に焦点を当てた作品で知られています。

映画界への道

タマホリは1970年代にコマーシャルアーティストや写真家としてキャリアをスタートさせました。その後、1970年代後半から1982年にかけて映画業界に足を踏み入れ、録音アシスタントとして活動を始めます。その後、テレビコマーシャルの監督として多くの作品を手がけ、国際的な賞も受賞します。1983年には、『UTU/復讐』や『戦場のメリークリスマス』で助監督を務め、監督としてのスキルを磨きました。

『ワンス・ウォリアーズ』によるブレイクスルー

彼の長編監督デビュー作『ワンス・ウォリアーズ』は、アラン・ダフの同名小説を基にしており、マオリ家庭の視点から描かれた作品です。この映画は、ニュージーランドにおけるマオリの現状や、貧困、疎外感、そして彼らが抱える問題を映し出しています。特に、子どもたちがマオリの伝統文化を再発見し、自らのアイデンティティを取り戻す様子が描かれており、視覚的にも感情的にも訴える力強い作品となっています。『ワンス・ウォリアーズ』は国内外で高い評価を受け、タマホリの名を知らしめるきっかけとなりました。

ハリウッドへの進出

デビュー作の成功を受け、タマホリはハリウッドへと活動の場を移します。1996年に製作された『狼たちの街』は、1950年代のフィルム・ノワールスタイルを取り入れた犯罪映画で、次第にタマホリのスタイルが確立されていきました。彼は『L.A.コンフィデンシャル』のような作品に続くハードボイルドや犯罪ジャンルに新たな風を吹き込みました。

また、著名俳優アンソニー・ホプキンスを主演に迎えた『ザ・ワイルド』や、スリラー映画『スパイダー』でも彼の手腕が光ります。このように、タマホリはハリウッドの一端での成功を収め、次々とヒット作を生み出しました。

スパイ・アクション映画の成功

タマホリは007シリーズの20作目となる『007 ダイ・アナザー・デイ』を監督し、ハリウッドのビッグプロジェクトに名を連ねることになります。ピアース・ブロスナンやハル・ベリーを主演に迎え、世界各地でのロケーション撮影を成功させました。また、2005年には『トリプルX ネクスト・レベル』でもスパイ映画の指揮を執るなど、アクション映画の分野でも高い評価を得ています。

フィルモグラフィー

タマホリが監督した代表的な作品には以下のものがあります：

• - 1983年 『UTU』（助監督、日本未公開）
• - 1983年 『戦場のメリークリスマス』（助監督）
• - 1994年 『ワンス・ウォリアーズ』
• - 1996年 『狼たちの街』
• - 1997年 『ザ・ワイルド』
• - 2001年 『スパイダー』
• - 2002年 『007 ダイ・アナザー・デイ』
• - 2005年 『トリプルX ネクスト・レベル』
• - 2007年 『ネクスト』
• - 2011年 『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』

タマホリの多彩な作品は、彼のルーツや独自の視点を反映したものであり、映画界における彼の貢献は今後も語り継がれていくことでしょう。

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